
SAPの品目を標準原価で持つか移動平均で持つか、価格管理区分は差異を誰に見せたいかで決める
品目マスタの価格管理区分を決める段階で、ベンダーの推奨の理由が分からない。選ぶ基準は計算の正確さではなく、仕入値の変動を差異として誰に見せたいかである。品目の種類ごとに決めて例外を残さない進め方をまとめる。

品目マスタの価格管理区分を決める段階で、ベンダーの推奨の理由が分からない。選ぶ基準は計算の正確さではなく、仕入値の変動を差異として誰に見せたいかである。品目の種類ごとに決めて例外を残さない進め方をまとめる。

不利な原価差異を期末在庫に配賦すれば当期の利益は上がり、その分は翌期の売上原価に回る。売上原価に落とせば当期の工場の成績が悪く見える。期末に議論しないよう、処理の選び方を差異の中身ごとに先に決めておく。

標準原価のままで困るかどうかは、差異の総額ではなく、そのうち在庫に配賦される割合で決まる。仕入値が動いた月に差異の全額を損益に入れると、月次の粗利がぶれる。実際原価を持つべき会社の条件を示す。

実際原価の確定を待つ限り、月次決算は遅れる。原価差異は原則として当年度の売上原価に賦課される。問うべきは精度でなく、どの差異なら概算のまま月次を締めてよいかという範囲だ。その判断方法を示す。

購買の報告額と粗利の改善額が合わないのは、購買が盛っているからではない。値下げの効果は在庫に入り、標準単価の改訂で基準に吸収され、数量の増減と混ざる。三つの出口を数字で切り分ける方法を示す。

標準原価の年1回改訂は慣行で、制度の要請ではない。材料価格や賃率に重大な変化が生じたときは、期中でも改訂する。ただし動かすのは価格標準だけだ。歩留や標準時間まで期中に動かすと、差異で能率を測れなくなる。

原価差異を経理で精算して終わりにしていないだろうか。宛先別に切り分ければ、値決め、工程改善、撤退の判断に使える。S/4HANA移行を機にこのループを組む設計を、製造業の実務に沿って解説する。