
グループ通算制度は税務の話で終わらない|子会社別の損益管理が先に問われる
通算制度で問われているのは申告実務の巧拙ではない。期限内申告の時点で、子会社別の通算前所得と通算前欠損をどこまで正確に見通せていたかである。遮断措置がその数字を固定し、軽減税率の枠も試験研究費の税額控除も、他社の所得に連動して動く。申告期限は二月延びたが、律速は動いていない。

通算制度で問われているのは申告実務の巧拙ではない。期限内申告の時点で、子会社別の通算前所得と通算前欠損をどこまで正確に見通せていたかである。遮断措置がその数字を固定し、軽減税率の枠も試験研究費の税額控除も、他社の所得に連動して動く。申告期限は二月延びたが、律速は動いていない。

債務保証損失引当金を積む日は、こちらが決められない。実務指針第61号は損失発生の可能性が高く金額を合理的に見積もれる場合に計上を求め、可能性が高いのに見積れない場合と、ある程度予想される場合には追加情報の注記を求める。税務の防波堤は法人税基本通達9-4-2の「合理的な再建計画」だけで、その合理性は支援額・再建管理・支援者の範囲・支援割合で判断される。

全件を親会社承認にすると意思決定が渋滞し、金額基準だけにすると会計方針の変更や独占契約やキーマンの登用が素通りする。投資・人事・契約・会計方針の四類型ごとに、事前承認と事後報告の線を引き直す。事後報告は様式と締切を書かなければ届かない。

テンプレート展開が崩れるのは、1社目で例外を1件認めた瞬間に2社目以降が交渉になるからだ。層の境界と変更手続を先に決め、展開順は規模順でなくテンプレートが壊れる順に組む。同じERPを入れない会社にも、会計の器だけは揃えさせる。

子会社経理の配置は、人の問題ではなく責任の分割である。親会社への報告体制の整備は取締役会の決定事項で、取締役に委任できない。移転価格のローカルファイルは日本法人自身の義務であり、その中身は現地でしか取れない事実で埋まる。集約してよいのは、証憑と規則だけで閉じる工程に限られる。

買収した会社の月次が遅いとき、本社から人を送るのは最後の手だ。先に移すのは締めの期日と勘定科目の意味であり、様式ではない。取得原価の配分は企業結合日以後1年以内。内部統制の評価除外は初年度の逃げ道でしかなく、翌期の扱いは基準に書かれていない。統合の時計は最初から動いている。