
SAPの第三者保守という選択肢|移行を先送りする判断を財務の数字で比較する
第三者保守は延命策ではなく、移行時期の決定権を買い戻す取引である。年間保守料の差額だけを並べた比較表には、法改正対応を自前で持つコストと、標準へ復帰するときの値段が載っていない。そして先送りの判断は、旧システムの償却と除却のタイミングを同時に動かす。

第三者保守は延命策ではなく、移行時期の決定権を買い戻す取引である。年間保守料の差額だけを並べた比較表には、法改正対応を自前で持つコストと、標準へ復帰するときの値段が載っていない。そして先送りの判断は、旧システムの償却と除却のタイミングを同時に動かす。

同じ基幹刷新でも、ライセンス購入・利用料・導入役務で計上の器が分かれる。クラウドに移るとソフトウェア本体の器が消え、日本基準には明文規定がない。一式見積りで発注すると後から按分できず、全額費用か全額資産の二択に追い込まれる。分ける作業は経理でなく発注部門の稟議段階に置く。

生成AIの稟議に書かれる年間削減時間は、退職が発生しない限りキャッシュにならない。会計基準は、確実と認められない支出を費用処理すると定めることで、既に段階の線を引いている。この線と投資の枠を一致させれば、小口は事後報告、大口は資産計上の証憑を伴う審査という二段構えになる。

研究開発費は全額が発生時費用になり、専用設備すら資産に残らない。だからテーマ別の累計投下額は帳簿から出てこない。会計基準は将来の収益獲得を客観的に判定できないと認めて資産計上を退けた。判断を降りた領域だからこそ、止める基準は管理会計で持つしかない。