
KPIの目標水準を前年比で決めるのをやめる|他社の実績を管理会計の物差しに入れる
前年比で積み上げた目標は、市場が伸びた年に自動的に達成され、縮んだ年に未達になる。他社の開示を物差しにするのは正しいが、比較できる指標とできない指標の線引きを間違えると、根拠のない数字が根拠のある顔をして予算に載る。セグメント利益、のれん、リース。この三つが歪みの発生源になる。

前年比で積み上げた目標は、市場が伸びた年に自動的に達成され、縮んだ年に未達になる。他社の開示を物差しにするのは正しいが、比較できる指標とできない指標の線引きを間違えると、根拠のない数字が根拠のある顔をして予算に載る。セグメント利益、のれん、リース。この三つが歪みの発生源になる。

公開範囲を機密性で切ると、現場が動かせる数字まで落ちる。管理可能性で切ると、残すべきものが残る。ただし外側に二つの壁がある。社内の報告単位は事業セグメントの判定材料になり、未公表の全社数値を配ることは受け取った側の立場を変える。

事業部から本社費が高いと言われたとき、返すべきは配賦基準の説明ではなく総額の説明である。売上比・従業員一人当たり・機能別単価の三つで自社の五期推移を出し、総額の妥当性をコーポレート側が先に説明する。外部水準は本社費という科目では取れないため、移転価格事務運営要領3-11と地方税法の分割基準という制度上の物差しを転用する。

組織を変えた年の開示は、量的重要性の変化による変更(第16項)と管理手法の変更による変更(第27項)で逃げ道が違う。集約基準は5要素すべてが類似、結合基準は過半数が類似で、条件も対象も別物である。負債や顧客名は、社内で見始めた瞬間に開示項目になる。

撤退効果は事業損益の黒字転換幅ではなく、全社の固定費が実際に何円減ったかで検算する。残るものは解約不能リース、システムの保守・ライセンス、間接部門の人件費、共用資産の減価償却の四つに分かれ、それぞれ削減できる時点が違う。そして残った共通費を残存事業へ配賦し直すと、次の撤退候補が機械的に生成される。

IT費が止まらないのは高いからではない。増やす判断をした人の損益に、その費用が乗っていないからだ。情シスは会計基準上、事業セグメントとして区分されない。配賦しなければ、その費用はどの事業の損益にも乗らない。配るなら単価と消費量に分け、事業が消費量を動かせるものだけを配る。配賦基準の変更は開示事項であり、毎年は動かせない。