「決算をもっと早く締めたい」——経理財務の現場で、これを言われたことのない人はいないでしょう。 しかし、決算早期化は 担当者の頑張りでは実現しません。早く締まる会社は、早く締まる「仕組み」を持っているだけです。
ここでは、実際に上場企業の月次決算を短縮した現場から、本当に効いた4つの打ち手を整理します。
1. 「締めの基準」を曖昧にしない
早期化が進まない最大の原因は、いつ・何をもって締めとするかの基準が人によって違う ことです。
- 経費精算の締め日を部門ごとに統一する
- 「軽微な未計上は翌月処理」のしきい値(金額基準)を明文化する
- 締め後の修正は原則認めない、というルールを経営が後押しする
精度を1%上げるために決算を3日遅らせるのは、多くの場合、割に合いません。 「正しさ」と「速さ」のトレードオフを、経営の意思として決めておく ことが出発点です。
2. 月次でやることを「平準化」する
月初に作業が集中するのは、月中にできることを月初に回しているからです。
- 固定資産の減価償却、リース、引当金などの定型仕訳は月中にテンプレ化
- 概算計上(見積計上)を活用し、確定を待たずに先に計上する
- 取引先からの請求書待ちをなくすため、自社発行ベースに切り替える
3. システムで「待ち時間」を消す
決算が遅れる正体は、計算ではなく 「待ち」と「手戻り」 です。
SAP FIのような会計基盤を入れる本当の価値は、伝票が増えても締めが遅くならないこと、 そして月次と年次が地続きで、決算のたびに作り直さなくて済むことにあります。 Excelの集計をいくら速くしても、データの転記と突合が残る限り、待ち時間は消えません。
4. 「決算は経理だけの仕事」をやめる
早く締まる会社は、経理以外の部門が決算に協力する仕組み を持っています。
- 各部門に「いつまでに何を出すか」を数字で約束してもらう
- 出てこない部門の状況が、経理から見える(ダッシュボード化)
- 締めの遅れの原因が、毎月きちんと振り返られる
決算早期化は、4つのどれか1つではなく、基準・平準化・システム・巻き込み を同時に動かして初めて効きます。 逆に言えば、どこか1つでも欠けると、そこがボトルネックになって全体が遅れます。
CFOzineでは、こうした「現場で本当に回る」経理財務の実務を、これからも具体で解説していきます。