グローバルミニマム課税を「税理士と経理でやっている件」として扱ってきた会社は、そろそろ持ち方を変えないと持てない。理由は制度の複雑さではない。この税は、申告の一年以上前に見積りを要求し、その見積りの根拠になるデータを経理が持っておらず、しかも将来の負担が税効果に映らないという三つの性質を同時に持っているからだ。数字が事前に警告してくれない。気づくのは、年度決算で金額が立った瞬間になる。

POINT
制度の骨格を、時間軸で押さえておく。令和5年度税制改正で所得合算ルール(IIR)に係る法制化として各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税が創設され、内国法人の令和6年4月1日以後に開始する対象会計年度から適用されている。対象は特定多国籍企業グループ等、すなわち多国籍企業グループ等のうち各対象会計年度の直前の4対象会計年度のうち2以上の対象会計年度の総収入金額が7億5,000万ユーロ以上であるもの等をいう(法人税法82条4号)。国別に算定した実効税率が基準税率15%に満たない場合に、その満たない部分について上乗せ課税が行われる。申告期限は各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月以内(法人税法82条の6第1項)、最初に提出すべき場合で一定の場合には1年6月以内(同条第2項)である。3月決算会社の最初の対象会計年度は2024年4月1日から2025年3月31日までであり、1年3月なら2026年6月30日、1年6月でも2026年9月30日が期限になる。もう目の前だ。 情報申告も同じ時間軸で動く。法人税法150条の3第1項は、構成会社等である内国法人等に対し、最終親会社等の名称や構成会社等の所在地国ごとの国別実効税率の水準その他財務省令で定める事項等を、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月以内に電子情報処理組織を使用する方法で納税地の所轄税務署長に提供することを求め、同条第9項は最初に提供する一定の場合に1年6月に読み替える。会計はさらに前倒しで動く。企業会計基準委員会の実務対応報告第46号第6項は、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等について、対象会計年度となる連結会計年度及び事業年度において、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき当該法人税等の合理的な金額を見積り、損益に計上するとしている。**申告の一年以上前に、決算で金額を置かなければならない。**一方で、実務対応報告第44号第3項は、当委員会が本実務対応報告の適用を終了するまでの間、連結会計年度及び事業年度の決算における税効果会計の適用にあたっては税効果適用指針の定めにかかわらずグローバル・ミニマム課税制度の影響を反映しないこととする、としている。**将来の負担は繰延税金に出てこない。**さらに実務対応報告第46号第7項は、期中財務諸表等では当面の間この法人税等を計上しないことができるとする。四半期でも見えない。先行指標がないまま、年度末に一発で立つ構造になっている。ここまで来ると、これは税務申告の話ではない。国別実効税率を期中に把握できるデータ基盤と、グループの税務方針をどこに置くかという経営管理の話である。

期限は、もう来月末にある

まず時計を合わせておきたい。3月決算の会社にとって、最初の対象会計年度は2024年4月1日から2025年3月31日までだった。

申告期限は各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月以内(法人税法82条の6第1項)。これは2026年6月30日で、既に過ぎている。最初に提出すべき場合の特例(同条第2項)が使える会社でも1年6月以内、つまり2026年9月30日である。情報申告も同じで、法150条の3第1項が1年3月、同条第9項が最初の提供に係る一定の場合の1年6月を定めている。

ここで見落としやすいのが、課税額がゼロでも情報申告の義務は残るという点だ。国際最低課税額確定申告書のほうは課税標準がない場合が除かれるが、情報申告は制度の対象となる企業グループに属する構成会社等に課された提供義務である。「うちは追加の税額が出ないから関係ない」で止めていた会社は、期限だけが先に来る。

なお免除の道はある。法150条の3第3項は、最終親会社等(指定提供会社等を指定した場合には指定提供会社等)の所在地国の租税当局が相当する情報の提供を行うことができると認められる場合として政令で定める場合に、提供義務を適用しないとしている。ただしこれは、最終親会社等が海外にある日本子会社の話だ。日本に最終親会社等がある企業グループは、免除される側ではなく、情報を作って出す側になる。

「軽課税国に子会社がない」は、判定になっていない

社内で最も多い誤解がここにある。タックスヘイブンに拠点を持っていないから対象外だろう、という感覚である。

企業会計基準委員会の実務対応報告第46号は、結論の背景で制度の特徴を整理している。BC3項(1)は、国別実効税率は各国の税額控除等を反映した後の税率であることから、当該国の法定実効税率が15%以上となる場合であってもグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等が課せられることがある、としている。したがって対象範囲の判定にあたって、当該国の法定実効税率のみに基づき判断することはできない。

**税率表を眺めて安心する作業は、判定として成立していない。**研究開発税制、投資減税、優遇措置。これらを使って税負担が下がっている国ほど、国別実効税率は法定より低く出る。日本国内でも同じことが起きうる。

同BC3項(2)はさらに、対象範囲の判定を行うに際して、恒久的施設等及び特殊な会社等(共同支配会社等、被少数保有構成会社等及び各種投資会社等)に関する国別の情報を入手することが求められるとしている。会計数値だけでは足りず、個別計算所得等の金額や調整後対象租税額の算定に使用する調整項目に関する情報も要る。

つまり、判定に必要な情報の粒度が、いまの連結決算より一段細かい。連結パッケージは会社単位で組まれていることが多いが、この制度は所在地国単位で見る。恒久的施設等がある場合には、子会社等から恒久的施設等の金額を切り分ける必要がある、とBC4項(1)は明記している。

会計は、申告の一年以上前に見積りを求める

制度の時間軸で最も厄介なのが、会計と税務のずれである。

実務対応報告第46号第6項は、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等について、対象会計年度となる連結会計年度及び事業年度において、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき当該法人税等の合理的な金額を見積り、損益に計上するとしている。理由はBC6項に書かれている。この法人税等は当連結会計年度の連結財務諸表を構成する会社等の国別の純所得に基づいて算定されるものであり、当連結会計年度以外の年度に計上すれば、税金等調整前当期純利益と法人税等が対応しなくなるためだ。個別財務諸表については、納税義務を生じさせる事象が対象会計年度となる当事業年度において生じているためとされる(BC7項)。

**決算までに見積り、申告は一年以上後に確定する。**この順序が、実務上の負荷をそのまま決める。

見積りと確定額のずれについては、扱いが示されている。同報告の概要は、企業が当事業年度の財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき見積った金額と翌事業年度の見積金額又は確定額との間に差額が生じる場合があるが、各事業年度において入手可能な情報に基づき合理的な金額を見積っている限り、当該差額は誤謬にはあたらず、当期の損益として処理することになると考えられる、としている。救いではあるが、免罪符ではない。**合理的な金額を見積っている限り、という条件が付いている。**根拠を残していない見積りは、この条件を満たさない。

貸借対照表の表示も押さえておく。第8項は、グローバル・ミニマム課税制度に係る未払法人税等のうち、貸借対照表日の翌日から起算して1年を超えて支払の期限が到来するものを、連結貸借対照表及び個別貸借対照表の固定負債の区分に「長期未払法人税等」などその内容を示す科目をもって表示するとしている。納付が一年以上先になるという制度の性質が、そのまま表示に出る。

税効果に映らないから、先に警告してくれる数字がない

CFOの立場から見て、この制度が最も危ういのはここだ。

実務対応報告第44号第3項は、当委員会が本実務対応報告の適用を終了するまでの間、連結会計年度及び事業年度の決算における税効果会計の適用にあたっては、税効果適用指針の定めにかかわらず、グローバル・ミニマム課税制度の影響を反映しないこととする、と定めている。同第3-2項は、この取扱いを期中財務諸表並びに第二種中間連結財務諸表及び第二種中間財務諸表にも適用するとする。

通常の税負担であれば、将来の負担は繰延税金負債として先に姿を現す。決算のたびに数字が動き、経営はその動きから将来を読む。**この制度についてはその機能が止められている。**繰延税金は何も語らない。

そして実務対応報告第46号第7項は、期中財務諸表並びに第二種中間財務諸表等においては、当面の間、その期間を含む対象会計年度に関するグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等を計上しないことができるとしている(適用する場合はその旨を注記する。同第13項)。理由は、四半期の利益等に基づいて年度と同様の方法で計算することが困難な場合があること、入手している情報が年度に比して限定的であることだ(BC12項からBC14項)。

四半期でも見えず、税効果にも出ない。**この税は、年度決算で初めて金額として姿を現す。**だから、経営が期中に見るべき数字は財務諸表の外に置くしかない。置かなければ、期中に打てる手が一つもなくなる。

財務諸表が先に警告してくれない以上、期中に見る仕組みを外側に作るしかない。
STEP 1
対象判定を期中に固定する
直前4対象会計年度のうち2以上で総収入金額が7億5,000万ユーロ以上か。ユーロ換算のため為替で出入りする。判定の基準と換算方法を先に決め、期中に置き直さない
STEP 2
国別実効税率を四半期で見る
法定実効税率ではなく、税額控除等を反映した後の率で見る。所在地国単位に組み替え、恒久的施設等は切り分ける。連結パッケージでは足りない
STEP 3
見積りの根拠を決算前に揃える
誰が、どの情報に基づき、どう見積ったか。実務対応報告第46号第6項が求めるのは合理的な見積りであり、根拠は後から作れない
STEP 4
申告と情報申告を同じ台帳から出す
申告期限は各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合は1年6月)。決算で使った台帳をそのまま申告の基礎にできる形にしておく
土台土台=税効果に映らない。実務対応報告第44号第3項は、税効果適用指針の定めにかかわらずグローバル・ミニマム課税制度の影響を反映しないこととしている。繰延税金は何も教えてくれない。期中に見る数字は、財務諸表の外に置く。
四半期で国別実効税率を見ていない会社は、年度決算の当日に初めて金額を知ることになる。

連結パッケージに、必要な欄がない

もう一つ、実務の入口で必ず詰まる点がある。調整後対象租税額の算定に必要なデータが、いまの連結決算では集まっていない。

実務対応報告第46号BC4項(2)は、国別実効税率の算定の基礎となる調整後対象租税額について、会計上の法人税、住民税及び事業税等並びに法人税等調整額の合計額に一定の調整を加えて算定されるとしたうえで、その調整として、対象会計年度終了の日から3年以内に支払われることが見込まれない法人税、住民税及び事業税等や、対象会計年度終了の日から5年以内に支払われることが見込まれない部分の繰延税金負債に係る法人税等調整額の調整などが求められていることを挙げている。

読み替えると、子会社から「税金がいつ支払われる見込みか」を取ってこなければならない、ということだ。

必要になる情報従来の連結パッケージにあるか誰が持っているか
所在地国単位の損益(恒久的施設等を切り分けた後)ない。会社単位で集めている子会社の経理。ただし切り分けの定義は親会社が示す必要がある
各国の税額控除等を反映した後の実効税率ない。法定税率で管理していることが多い現地の税務顧問。親会社側に集約する仕組みがない
法人税等の支払見込時期(3年以内かどうか)ない子会社の税務担当。決算数値としては集めていない
繰延税金負債の解消見込時期(5年以内かどうか)一部の会社のみ子会社の経理。スケジューリングを持っていないと出せない
各国の税制の理解を要する調整項目ない現地。親会社に情報が上がる経路自体がない

表を眺めると分かるとおり、**ほとんどの行の答えが「子会社にはあるが、親会社に上げる経路がない」になる。**これは税務の問題ではなく、連結情報の設計の問題だ。パッケージの様式を変え、回収の期日を決め、記入者を指名する。ここに手をつけないまま税理士に依頼しても、依頼された側は入力データを持っていない(連結パッケージの設計と回収:子会社からのデータ収集を遅らせない運用)。

繰延税金負債の解消見込時期については、税効果のスケジューリングを期中に回している会社であればそのまま流用できる。持っていない会社は、そこから作ることになる(税効果会計の一時差異を拾う工程|スケジューリング表を決算後に作らない)。

令和8年4月から、ルールが二つ増える

制度が固まったと思うのは早い。令和7年度税制改正で、残る二つのルールが法制化された。

国税庁「グローバル・ミニマム課税への対応に関する改正のあらまし(2)」(令和7年4月)によれば、軽課税所得ルール(UTPR)に係る法制化として各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税が、国内ミニマム課税(QDMTT)に係る法制化として各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税が創設された。適用は、いずれも法人の令和8年4月1日以後に開始する対象会計年度からである(令和7年改正法附則13)。情報申告制度の見直しも、法人の令和8年4月1日以後に開始する対象会計年度に係る報告事項等から適用される(令和7年改正法附則19①)。

3月決算の会社にとって、令和8年4月1日以後に開始する対象会計年度とは2026年4月1日に始まった期のことだ。つまり、いま走っている期がその期である。

国内ミニマム課税の意味は押さえておきたい。あらましは、国内ミニマム課税を、自国での税負担が基準税率15%に至るまで課税を行う制度であり、所得合算ルールや軽課税所得ルールによる課税よりも優先されることから、他国からの課税を防止する機能を持つものといえる、と説明している。**日本の実効税率が15%を下回る国内グループ会社があれば、それは他国に持っていかれる前に日本で課される。**日本国内は関係ないという前提で体制を組んでいると、ここで外れる。

税務を、経理の一機能から経営管理の項目へ

ここまでの性質を並べると、この制度を誰が持つべきかは自ずと決まる。

第一に、判定に必要な情報が連結決算の枠を超えている。所在地国単位、恒久的施設等の切り分け、税額控除反映後の実効税率、支払見込時期。これらを子会社から取りにいく権限は、経理課長の職位では足りないことが多い。

第二に、見積りの合理性を最終的に説明するのはCFOである。実務対応報告第46号が求めているのは、入手可能な情報に基づく合理的な見積りだ。**どこまで情報を取りにいったかが、合理性の中身になる。**取りにいかなかった理由を説明できるのは、体制を決めた人だけである。

第三に、この制度は税務方針を可視化する。どの国にどれだけの機能と資産を置き、どれだけの利益が出ているか。国別実効税率を作る作業は、そのままグループの税務ポジションの棚卸しになる。移転価格の設計と地続きの話になる(グループ内取引価格の決め方|移転価格と管理会計のねじれをどう解くか)。

やることは三つでいい。国別実効税率を四半期で見る仕組みを作る。連結パッケージに税金の支払見込時期の欄を足す。見積りの根拠を残す様式を決める。この三つは、いずれも申告書を書く作業ではない。決算の設計の作業である。だから税理士に頼んでも進まない。申告調整と決算をつなぐ設計と、同じ性質の仕事だ(税務申告と決算をつなぐ|申告調整を期末に慌てて作らない期中の分担)。

現場では
海外十二か国に子会社を持つ精密機器メーカーで、グローバルミニマム課税の対応は経理部の税務担当一名と顧問税理士に任されていた。売上規模から対象になることは分かっていたが、社内の認識は「追加の税額はおそらく出ない」だった。理由は、進出先の法定実効税率がいずれも15%を上回っていたからである。担当者が国別実効税率の試算に着手したのは、最初の対象会計年度が終わってからだった。作業を始めてすぐ止まった。所在地国単位の損益が作れない。連結パッケージは会社単位で組まれており、ある国では一社が別の国に恒久的施設等を持っていた。次に止まったのが調整後対象租税額だった。税金の支払見込時期という情報が、どのパッケージにも存在しない。子会社に個別に照会したが、決算数値ではないため回答の粒度がばらついた。三か月かけて作った試算で、一か国だけ国別実効税率が15%を下回った。研究開発関連の優遇措置を厚く使っていた国で、法定実効税率は20%を超えていた。金額そのものは連結利益に対して小さく、その期の見積りは大きな論点にならなかった。だが経営会議の空気は変わった。試算に三か月かかったという事実のほうが問題だったからだ。翌期、CFOは体制を組み直した。連結パッケージに三つの欄を足した。恒久的施設等の有無と所在地国、法人税等の支払見込時期の区分、繰延税金負債の解消見込時期の区分である。あわせて、国別実効税率の試算を四半期ごとに回す運用に変えた。四半期で計上しない扱いは会計上認められているが、社内では数字を見る、と決めた。二年目の試算は三週間で終わっている。担当者は言った。難しかったのは計算ではなく、どの子会社の誰に何を聞けばよいかを見つけることだった、と。

数字が警告してくれない税に、どう備えるか

グローバルミニマム課税を難しくしているのは、計算式ではない。この税だけが、経営に対して事前の信号を出さないことである。

繰延税金には映らない。四半期にも出さないことが認められている。年度決算で見積りとして初めて姿を現し、申告はその一年以上後に確定する。通常の税金であれば、期中の税負担率の動きから「何かが起きている」と気づける。ここではその手がかりが構造的に断たれている。

だから、備え方は一つしかない。**財務諸表の外に、期中に見る数字を作ることだ。**国別実効税率を四半期で並べる。前期からの変化と、15%との距離を見る。距離が縮まっている国があれば、その国で何が起きているかを期中に確認する。優遇税制の適用、一時差異の解消、事業構成の変化。年度末に知るのと、第2四半期に知るのでは、打てる手の数が違う。

期限の話をもう一度しておく。3月決算の会社にとって、最初の情報申告と最初の国際最低課税額確定申告は、1年6月の特例が使える場合でも2026年9月30日が期限である。そして令和8年4月1日以後に開始する対象会計年度、すなわち2026年4月に始まった期からは、国内ミニマム課税と軽課税所得ルールが加わる。準備期間はもう終わっている。

まとめ
グローバルミニマム課税は、申告実務ではなくデータ基盤と税務方針の問題としてCFOの管轄に入る。時間軸を押さえる。令和5年度税制改正で所得合算ルール(IIR)に係る各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税が創設され、内国法人の令和6年4月1日以後に開始する対象会計年度から適用されている。対象は特定多国籍企業グループ等、すなわち各対象会計年度の直前の4対象会計年度のうち2以上の対象会計年度の総収入金額が7億5,000万ユーロ以上であるもの等をいう(法人税法82条4号)。申告期限は各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月以内(同法82条の6第1項)、最初に提出すべき一定の場合は1年6月以内(同条第2項)であり、3月決算会社の最初の対象会計年度である2024年4月1日から2025年3月31日までの分は、1年6月でも2026年9月30日が期限になる。情報申告も同じで、同法150条の3第1項が1年3月、同条第9項が最初の提供に係る一定の場合の1年6月を定める。課税額が出ない場合でも情報の提供義務は残る。免除は、最終親会社等または指定提供会社等の所在地国の租税当局が相当する情報を提供できると認められる政令で定める場合に限られ(同条第3項)、日本に最終親会社等がある企業グループは情報を作って出す側に立つ。判定は税率表では終わらない。実務対応報告第46号BC3項(1)は、国別実効税率が各国の税額控除等を反映した後の税率であるため、当該国の法定実効税率が15%以上となる場合であっても課税されることがあるとし、法定実効税率のみに基づく判断を否定している。同BC3項(2)は、恒久的施設等及び特殊な会社等に関する国別の情報の入手を求め、BC4項(1)は恒久的施設等がある場合に子会社等から金額を切り分ける必要があるとする。会計の要求は申告より一年以上早い。同報告第6項は、対象会計年度となる連結会計年度及び事業年度において、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的な金額を見積り損益に計上するとし、その理由を、当連結会計年度以外の年度に計上すると税金等調整前当期純利益と法人税等が対応しないこと(BC6項)、個別財務諸表では納税義務を生じさせる事象が当事業年度に生じていること(BC7項)に置いている。見積額と後の確定額との差額は、合理的な見積りを行っている限り誤謬にあたらず当期の損益として処理される。第8項は、貸借対照表日の翌日から起算して1年を超えて支払期限が到来する未払分を固定負債の区分に長期未払法人税等などの科目で表示するとしている。一方、実務対応報告第44号第3項は、当委員会が適用を終了するまでの間、決算における税効果会計の適用にあたって税効果適用指針の定めにかかわらずグローバル・ミニマム課税制度の影響を反映しないとし、同第3-2項は期中財務諸表及び第二種中間財務諸表等にも適用するとする。加えて第46号第7項は、期中財務諸表等において当面の間この法人税等を計上しないことができるとし、適用時はその旨を注記する(同第13項)。繰延税金にも四半期にも出ないため、この税は年度決算で初めて金額として現れる。必要なデータは既存の連結パッケージにない。同報告BC4項(2)は、調整後対象租税額の算定において、対象会計年度終了の日から3年以内に支払われることが見込まれない法人税、住民税及び事業税等や、5年以内に支払われることが見込まれない部分の繰延税金負債に係る法人税等調整額の調整などが求められるとしている。所在地国単位の損益、税額控除反映後の実効税率、法人税等の支払見込時期、繰延税金負債の解消見込時期。いずれも子会社にはあるが親会社に上がる経路がない情報であり、パッケージの様式・回収期日・記入者を決め直すところから始まる。さらに令和7年度税制改正で、軽課税所得ルール(UTPR)に係る各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税と、国内ミニマム課税(QDMTT)に係る各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税が創設され、いずれも法人の令和8年4月1日以後に開始する対象会計年度から適用される(令和7年改正法附則13)。情報申告制度の見直しも同じ対象会計年度から適用される(同附則19①)。3月決算会社にとってそれは2026年4月に始まった期であり、国内ミニマム課税は自国での税負担が基準税率15%に至るまで課税を行い、所得合算ルールや軽課税所得ルールによる課税よりも優先される。打ち手は三つに集約される。国別実効税率を四半期で見る仕組みを作ること、連結パッケージに税金の支払見込時期の欄を足すこと、見積りの根拠を残す様式を決めること。いずれも申告書を書く作業ではなく決算の設計の作業であり、外部に委託しても進まない。

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