5月の監査役会で、監査法人の交代が決まる。6月の定時株主総会で新しい会計監査人が選任され、適時開示も臨時報告書も予定どおりに出る。経理課長は、それを他人事として聞いている。監査法人が変わるだけで、決算のやり方が変わるわけではない、と。 7月の終わり、新任の監査チームから最初の資料依頼が届く。前期末の実地棚卸の記録と品目別の受払、前期末に計上した引当金の見積りの根拠、固定資産の取得価額の証憑、前期末の注記に載せた保証債務の契約書。 第1四半期の締めの最中である。前期末の資料を作った担当者は、4月に別の部署へ異動している。

POINT
新任の監査人が何を求めてくるかは、日本公認会計士協会の監査基準報告書510「初年度監査の期首残高」(最終改正2025年7月17日)に書かれている。第2項は、初年度監査における監査人の目的を、期首残高に当年度の財務諸表に重要な影響を及ぼす虚偽表示が含まれているかどうか、及び期首残高に適用した適切な会計方針が当年度の財務諸表に継続して適用されているかどうか等について、十分かつ適切な監査証拠を入手することとしている。 第3項は、期首残高には、財務諸表に計上されている金額に加えて、期首に存在する偶発債務等の注記が必要な事項も含まれるとする。そして第5項が手続を定める。前年度の期末残高が当年度に正しく繰り越されているかどうかを確かめること、期首残高に適切な会計方針が適用されているかどうかを確かめること、そのうえで、前任監査人の監査調書を閲覧すること、当年度に実施した監査手続によって期首残高に関する監査証拠を入手できるかどうかを評価すること、期首残高に関する監査証拠を入手するために特定の監査手続を実施することのうち、一つ又は複数を実施すること。 前任の意見をそのまま引き継いでよいという規定は置かれていない。第9項は、期首残高に関する十分かつ適切な監査証拠を入手できず、その影響が重要である場合には、監査範囲の制約に関する限定意見を表明するか、又は意見を表明してはならないとしている。 なお、日本公認会計士協会は2026年7月16日に、監査基準報告書570「継続企業」の改正に伴う監査基準報告書等の改正の公開草案を公表しており、その対象には510と、後述の710も含まれている。初年度の決算は、新任が期首残高について証拠を持てるかどうかに、監査意見そのものが懸かっている。

新任は、前任の結論ではなく証拠を引き継ぐ

交代の実務で経理が最初に誤解するのは、前任の監査調書があるのだから、期首残高は前任が見たもので済むはずだという期待である。

監査基準報告書510の適用指針A2項は、前任監査人の監査調書を閲覧することによって期首残高に関する十分かつ適切な監査証拠を入手できることがあり、特に実査、立会、確認等に関連する監査調書の閲覧は有用であることが多いとしている。ただし同じ項は、当該閲覧により十分かつ適切な監査証拠を入手できるかどうかは、前任監査人の専門的能力と独立性に影響を受ける、と続けている。 閲覧は手続の一つであって、それで足りるかどうかを判断するのは新任の監査人である。

引継の枠組みそのもの、つまり前任への質問事項や調書の閲覧の手続は、監査基準報告書900「監査人の交代」が定めており、交代の意思決定と開示の段階で押さえておくべき論点である(監査法人の交代はいつ検討すべきか、契約継続を辞退される側になる前の準備)。経理の実務に効くのはその先で、閲覧で足りなかった部分について、新任は会社に資料を求めてくる。 その資料は、前任が見た資料と同じとは限らない。新任は自分の監査計画と重要性の判断で、どの勘定をどこまで遡るかを決める。

そして、遡った結果として見解が分かれる可能性も制度に織り込まれている。第6項は、期首残高に当年度の財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性のある虚偽表示が含まれているという監査証拠を入手した場合、監査人は適切な追加的監査手続を実施しなければならないとし、監査期間中に当年度の財務諸表にそのような虚偽表示が存在すると判断した場合には、前任監査人を含め三者間で協議するよう会社に対し求めなければならないとしている。 前期の数字に誤りがあったと判断されれば、過年度の誤謬として扱うかどうかの論点に進む(会計方針の変更・見積りの変更・誤謬の訂正の違いと、遡及・開示への影響)。

前期の数値は、対応数値として当年度の監査報告書に現れる

期首残高と並んで、前期の数値そのものも初年度の監査の対象に入ってくる。財務諸表に並ぶ前期の数値が、当年度の財務諸表の一部である対応数値として表示される場合、新任はその前期の数値も当年度の監査の中で扱う。

監査基準報告書710「過年度の比較情報-対応数値と比較財務諸表」(最終改正2025年7月17日)は、第1項で、前年度の財務諸表が前任監査人によって監査されていた場合には、510の期首残高に関する要求事項と適用指針、及び900も併せて適用するとしている。そして第12項は、前年度の財務諸表を前任監査人が監査しており、監査報告書において前任監査人が対応数値を監査している旨及びその意見を記載することが法令等によって禁止されておらず、かつ監査人がそれを記載することにした場合、その他の事項区分に、前年度の財務諸表は前任監査人により監査された旨、前任監査人が表明した監査意見の類型及び除外事項付意見が表明されていた場合にはその理由、前任監査人の監査報告書の日付を記載しなければならないとしている。

経理にとって重いのは、記載の文言よりも第11項である。 同項は、監査人が、以前に無限定意見が表明されている前年度の財務諸表に重要な虚偽表示が存在するという監査証拠を入手したが、対応数値が適切に修正再表示されていない又は注記事項が妥当ではない場合には、当年度の財務諸表に対する監査報告書において、対応数値に関する除外事項付意見として、限定意見又は否定的意見を表明しなければならないとしている。前任が無限定意見を出した前期の数値でも、新任が誤りの証拠を持てば、当年度の監査報告書の問題になる。 前期の数値の組替や注記の整合を、前任の監査が済んでいるからと点検から外さない。

前任の意見が除外事項付だった場合も同じ構造がある。510第12項は、前年度の財務諸表に対する前任監査人の除外事項付意見の原因となった事項が当年度の財務諸表に関連し重要な影響を及ぼしている場合には、新任も当年度の監査意見を除外事項付意見としなければならないとしている。 前任との間で解けなかった論点は、交代しても消えない。

負荷は勘定によってまったく違う

監査基準報告書510の適用指針は、期首残高の証拠がどこから得られるかを、勘定の性質で書き分けている。これを読むと、経理が準備すべきものの優先順位がそのまま決まる。

勘定の性質新任が期首残高の証拠を得る主な経路(監基報510適用指針)経理の追加作業の重さ
売掛金・買掛金など流動資産・流動負債期首に残高のあるものが当年度中に回収又は支払われることで、実在性・権利と義務・網羅性・評価の証拠を入手できることがある(A4項)軽い。期首残高の明細と、期中の回収・支払との紐づけが取れていれば足りることが多い
棚卸資産期末の手続によっても期首の実地棚卸数量についての証拠はほとんど入手できず、当年度の実地棚卸からの遡り調整、期首の評価に対する手続、売上総利益と期間帰属に対する手続が挙げられている(A4項)最も重い。品目別の受払と、期首の評価の根拠まで遡る
有形固定資産・投資・長期債務期首残高の基礎となる会計記録やその他の情報の検討、長期債務や投資については第三者への確認で証拠を入手できることがある(A5項)中程度。取得の記録と台帳の履歴、借入契約と残高の確認
注記が必要な偶発債務等期首残高に含まれる(第3項)見落とされやすい。期首時点で存在した保証債務・訴訟等の資料
見積りと会計方針期首残高に適用した会計方針が適切か、当年度に継続して適用されているか(第5項(2)・第7項)重い。前期末の見積りの前提と根拠資料

表の上の行ほど、当年度の通常の監査の中で自然に片付く。 下の行ほど、過年度の資料が会社の中に残っているかどうかで工数が決まる。

棚卸資産の期首数量は、期中にしか作れない

最も重い棚卸資産から見る。

監査基準報告書510の付録には、監査人が期中に監査契約を締結したため当年度の期首の実地棚卸に立ち会うことができず、期首の棚卸資産の数量に関して十分かつ適切な監査証拠を入手できなかった場合の、限定付適正意見の監査報告書の文例が載っている。期首の在庫の数量は、それほど証拠を作りにくい領域として扱われている。

前任の立会の調書を閲覧できれば、それが有力な証拠になる。閲覧で足りなければ、新任はA4項が挙げる手続に進む。 当年度の実地棚卸に立ち会い、その結果から期首の数量に遡って調整する。そのために必要なのは、期首から当年度の実地棚卸の日までの、品目別の入庫と出庫の記録が、帳簿上正確に揃っていることである。

ここで、日々の在庫管理の癖が効いてくる。実地棚卸の差異を、原因を調べずに期末に帳簿へ一括で合わせている会社では、受払の記録から期首へ遡っても、途中で数字が繋がらない。 遡るたびに、どこかで調整の仕訳に行き当たる(実地棚卸の数量差異を経理で吸収しない、棚卸差異の処理と原因の突き止め方)。

期首の評価も同じである。滞留在庫の評価損を前期末にどの基準で計上したか。「12か月以上動きのない品目は簿価の50パーセント」のように基準が文書になっていれば、新任はその基準の適用を確かめればよい。 基準が担当者の判断で、根拠が残っていなければ、前期末の品目ごとに判断を再現する作業になる(棚卸資産の評価損と滞留在庫、期末に揉めない引当ルールの作り方)。

この二つの材料は、期末になってから作ることができない。 受払の記録が繋がるかどうかは、期首からの記録の運用にかかっている。当年度の実地棚卸を期中に一度行い、そこから期首へ遡る材料を揃えておくことを、新任の監査チームと期の早い段階で合意しておく。

見積りと会計方針は、新任の目で見直される

もう一つの重い領域が、期首残高に適用した見積りと会計方針である。

第7項は、監査人に、期首残高に適用した適切な会計方針が当年度の財務諸表に継続して適用されているかどうか、又は会計方針の変更が適切に処理され、その表示及び注記事項が妥当かどうかについて、十分かつ適切な監査証拠を入手することを求めている。 前任が認めていた処理でも、新任が期首残高に適用された方針を適切だと判断するための証拠は、新任自身が持つ必要がある。

実務で論点になりやすいのは、判断の幅が大きい見積りである。 繰延税金資産の回収可能性の判断に使った将来の課税所得の見込みと企業の分類、固定資産の減損の資産グルーピングと兆候の判定、製品保証や返品の引当の率。前任との間で議論の末に落ち着いた論点は、その議論の経緯が会社の側に残っていなければ、新任との間で最初から繰り返すことになる。

だから、前期末の主要な見積りについて、方法・主要な仮定・使った情報・前任との協議の要点を一件ずつ書き出しておく(引当金の見積りの責任分担、前提は事業部・水準は経理・承認は経営)。繰延税金資産であれば、分類の判断の根拠と、スケジューリングの資料である(繰延税金資産の回収可能性、業績悪化の期に純利益が大きく振れる仕組み)。新任が同じ結論に至るかどうかは会社には決められないが、同じ材料から出発させることはできる。

期首が過ぎてから決めたなら、資料は期中に作る

3月決算の会社が、5月に交代を決め、6月の総会で新任を選任したとする。この場合、新任にとっての初年度は、4月1日にすでに始まっている事業年度である。 期首残高の日付は、交代を決めた時点で過去になっている。

5月に決めた場合、期首残高の資料を作る時間は、実質的にその期の期中しか残っていない。 期末に作ろうとすると、当期の締め、新任の期末監査、そして期首残高への遡りが、同じ数週間に重なる。

交代の検討が早く進み、前期のうちに交代を決められるなら、選択肢が一つ増える。 期首の実地棚卸をどう証拠化するか、たとえば前任の立会の調書をどこまで閲覧に供するか、棚卸の記録をどの形で残すかを、前任と後任の予定者と先に協議する余地がある。後任の予定者が選任前にどこまで関与できるかは、個々の状況と両者の判断による。少なくとも、期首の証拠の作り方を期首より前に話し合えるのは、前期中に決めた会社だけである。

期首が過ぎてから交代を決めた場合は、決定の月から逆算して、期首残高の資料を期中の工程に割り付ける
STEP 1
パッケージの目次を作る
交代の決定直後に、貸借対照表の科目と注記の項目ごとに、期首残高の明細・証憑の所在・前期末の論点を一覧にする
→
STEP 2
繰越と明細を揃える
第1四半期のうちに、前期末の残高が当期首に正しく繰り越されていることの突合と、科目別の明細、前期の数値の組替の整合を揃える
→
STEP 3
遡りの材料を作る
第2四半期までに、棚卸資産の受払と期中の実地棚卸、前期末の見積りの方法・仮定・根拠と前任との協議の要点を揃える
→
STEP 4
論点を先に決着させる
第3四半期までに新任と論点を出し切り、見解が分かれた場合は三者での協議の場を期末前に設ける
土台土台は前期の決算資料が、作った担当者ではなく保管場所で探せること。担当者の異動と監査人の交代が同じ年に重なる会社ほど、この土台の有無で工数が決まる。
期首が過ぎてから決めた会社にとって、決定の月が準備を始める月である。前期中に決められるなら、期首の証拠の作り方から話し合える。

パッケージは新任への提出物であると同時に、経理の中の引継資料でもある。交代の年は、前期末の決算を担った担当者の異動と重なることがある(経理の異動と着任時期は決算カレンダーから逆算し、期首一斉の入れ替えを避ける)。資料の所在を人の記憶に置いたままでは、新任の質問に答えられる人がいなくなる。

設例

売上高510億円の産業用部品メーカー(3月決算)。監査報酬の増額が続いたことを受けて、5月の監査役会で監査法人の交代を決め、6月の定時株主総会で新任の監査法人が選任された。 経理部は当初、交代を開示と総会の手続の問題と捉えていた。7月下旬、新任の監査チームから期首残高に関する最初の依頼が届いた。 前期末の実地棚卸の記録と、期首から7月末までの品目別の受払、前期末の滞留在庫の評価損の算定根拠、製品保証引当金の率の根拠、固定資産の主要な取得の証憑、前期末の注記に載せた債務保証の契約書。前期末の決算を担当した主任は、4月に経営企画部へ異動していた。 最も時間を取られたのは棚卸資産である。在庫の品目は約1,200あり、前期末の実地棚卸の差異は、原因を調べずに期末に一括で帳簿を合わせていた。 受払から期首の数量へ遡ると、この一括の調整の仕訳で数字が繋がらない品目が約180出た。経理部と生産管理部は、差異の大きい品目から原因を調べ直し、作業は7月下旬から9月中旬まで6週間に及んでいる。次に、滞留在庫の評価損の基準が文書になっていなかった。 前期末は、担当主任が品目ごとに判断していた。新任の求めに応じ、主任を異動先から呼んで判断の根拠を聞き取り、「最終出庫から12か月超は簿価の50パーセント、24か月超は全額」という実際に使われていた基準を文書にしたうえで、前期末の品目への当てはめを再現した。この二つが第1四半期の締めと、その後の期中の業務に重なり、第1四半期の締めは例年より2営業日遅れた。 9月、経理部長は残りの作業をやり方ごと組み替えている。貸借対照表の科目と注記の項目ごとに、期首残高の明細、証憑の所在、前期末の論点を一覧にしたパッケージを作り、38項目に整理した。 前期の財務諸表で行った表示の組替についても、組替前後の対応表を添えた。製品保証引当金については、率の根拠と、前任との協議で率を据え置いた経緯を、議事メモから掘り起こして添付した。11月には当期の実地棚卸を一度前倒しで行い、そこから期首へ遡る材料を新任と合意した範囲で揃えた。 新任との論点は第3四半期のうちに出し切り、見解が分かれたのは製品保証引当金の率の一件だった。新任は率の算定方法を翌期以降に見直すよう求めたが、期首残高については重要な虚偽表示に当たらないと判断し、三者間の協議には至っていない。 期末監査は例年より1週間長くかかったが、監査報告書は無限定適正意見で、その他の事項区分に前任が前年度を監査した旨、その意見の類型と監査報告書の日付が記載された。翌期から、経理部は期末の決算資料の保管場所を科目別の固定の構成にし、実地棚卸の差異は原因を記録してから帳簿に反映する運用に変えている。

※設例。会社、数値は説明のために置いた架空のもので、特定の会社の実績ではない。

決めるのは三つ

第一に、新任は前任の結論ではなく証拠を引き継ぐ、という前提で準備を始める。 監査基準報告書510(最終改正2025年7月17日)第5項は、前年度の期末残高の繰越と期首残高への会計方針の適用を確かめたうえで、前任監査人の監査調書の閲覧、当年度の手続による評価、特定の監査手続のうち一つ又は複数を実施することを求める。A2項は、閲覧で足りるかは前任の専門的能力と独立性に影響を受けるとしており、足りるかどうかを判断するのは新任である。 第9項により、期首残高について十分かつ適切な証拠が得られず影響が重要なら、限定意見か意見不表明になる。第6項により、当年度の財務諸表に期首由来の虚偽表示があると判断されれば、前任を含めた三者間の協議が求められる。前期の数値も対象で、監査基準報告書710第11項により、前任が無限定意見を出した前年度に重要な虚偽表示の証拠があり対応数値が適切に修正再表示されていなければ、当年度の監査報告書で対応数値に関する除外事項付意見になる。前期の数値の組替や注記の整合も、点検から外さない。

第二に、勘定ごとの重さに応じて、準備の優先順位を付ける。 売掛金・買掛金は当年度の回収と支払で証拠が得られることがあり、固定資産・投資・長期債務は会計記録の検討や第三者への確認で証拠が得られることがある。最も重いのは棚卸資産で、A4項は期末の手続によっても期首の実地棚卸数量についての証拠はほとんど入手できないとしている。 品目別の受払が期首から繋がる状態と、期首の評価の基準の文書を用意する。見積りと会計方針は、前期末の方法・主要な仮定・使った情報・前任との協議の要点を一件ずつ書き出し、新任を同じ材料から出発させる。 期首に存在した保証債務などの注記事項も、期首残高に含まれる。

第三に、交代を決めた時期に応じて、期首残高のパッケージを作る工程を決める。 3月決算で5月に交代を決めた場合は、初年度はすでに始まっており、期首残高の資料を作る時間は実質的にその期の期中しか残っていない。決定の直後に科目別の目次を作り、第1四半期に繰越の突合と明細、第2四半期までに棚卸の遡りの材料と見積りの根拠、第3四半期までに論点の決着。 前期中に交代を決められるなら、期首の実地棚卸をどう証拠化するかを前任・後任の予定者と先に協議する余地がある。いずれの場合も、前期末の決算資料は、作った担当者ではなく保管場所で探せる状態にしておく。

まとめ

監査法人が替わっても、新任は前任の結論をそのまま引き継がず、期首残高の証拠を自分で確かめにくる。その資料を用意するのは経理で、負荷が最も重いのは棚卸資産の期首数量、次が期首残高に適用した見積りと会計方針である。期首が過ぎてから交代を決めた会社には、資料を作る時間がその期の期中しか残っていない。

交代が決まったら、その直後に貸借対照表の科目と注記の項目ごとのパッケージの目次を作る。第1四半期に繰越の突合と明細、第2四半期までに棚卸の遡りの材料と見積りの根拠、第3四半期までに新任との論点の決着と、四半期ごとに割り付けていく。

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