減損の検討が始まった週に、CFOが財務部長に聞く。この減損を入れたとき、借入契約に引っかかるものはあるか、と。財務部長は「確認します」と答えて席に戻り、契約書のファイルを探しはじめる。シンジケートローンの契約書は300ページあり、財務制限条項は第20条あたりに埋まっている。読み解くのに三日かかり、そこから条項に数字を当てるのにもう二日かかる。この五日が、交渉の余地を失わせる。 減損の金額が固まってから銀行に行くと、それは相談ではなく報告になる。相談には対案が付くが、報告には了承か不承かしか返ってこない。
POINT
抵触の帰結を、会計の側から順に押さえておきたい。第一に、期限の利益の喪失である。民法第137条は、債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、担保を滅失させ・損傷させ・減少させたとき、担保を供する義務を負う場合にこれを供しないときの三つを法定の喪失事由とするが、実務で問題になる財務制限条項への抵触はここに含まれない。契約が定めた喪失事由である。 つまり法定より広く、契約ごとに違う。第二に、表示への影響である。財務諸表等規則第51条は「社債、長期借入金、関係会社からの長期借入金、繰延税金負債、引当金……及びその他の負債で流動負債に属しないもの」を固定負債とし、同規則第47条第6号は「その他の負債で一年内に支払又は返済されると認められるもの」を流動負債とする。同規則第8条第1項は「一年内」を貸借対照表日の翌日から起算して一年以内の日と定義する。銀行が現に請求していなくても、一年内に返済されると認められる状態になれば、長期借入金は流動負債に移る。 流動比率も、自己資本比率以外の指標も、その瞬間に別の顔になる。第三に、注記である。同規則第8条の27は、貸借対照表日において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在する場合であって、当該事象又は状況を解消し又は改善するための対応をしてもなお重要な不確実性が認められるときに、四つの事項の注記を求める。抵触は「事象又は状況」に当たり、銀行から取得する権利行使の猶予は「対応」に当たる。猶予が期末後に取れているかどうかで、注記の要否が変わる。 なお国際的な基準では2022年10月公表のIAS第1号改正「Non-current Liabilities with Covenants」(2024年1月1日以後開始する年次報告期間から適用)が、報告日後に遵守すべき財務制限条項は報告日における流動・非流動の分類に影響しないことを明記したが、日本基準に対応する明文はない。IFRS適用会社と日本基準適用会社で、同じ契約が別の場所に載り得る。
契約書に書いてあることを、台帳に写す# 最初の作業は交渉でも試算でもない。契約から条項を抜き出して、経理と財務が毎四半期に開く一枚の台帳にすることである。
台帳に持たせる列は六つある。この六つが揃っていない台帳は、期末に必ず使えない。
第一に、判定式。純資産維持型なら「各年度末の連結純資産の額を、直前年度末又は基準年度末の連結純資産の額のいずれか大きい方の一定割合以上に維持する」といった形になる。契約ごとに割合も比較対象も違うので、写し取る。
第二に、判定基準日。年度末のみか、各四半期末か、半期末か。ここを取り違えている台帳が多い。 年度末のみの条項を四半期で測るのは無駄ではないが、四半期末も判定日である条項を年度末だけ見ていると、期中に事故が起きる。
第三に、判定に使う数値の定義。連結か単体か。純資産に非支配株主持分と新株予約権を含むか。EBITDAの定義に何を足し戻すか。同じ「純資産」という語でも、契約によって指すものが違う。 定義が書かれていない契約もあり、その場合はどう読むかを事前に銀行と合わせておく。期末に解釈で揉めるのが最悪である。
第四に、治癒期間の有無。抵触した場合に一定期間内に解消すれば喪失事由にしない、という規定が置かれていることがある。あるかないかで、動ける時間がまったく違う。
第五に、クロスデフォルト条項の有無と範囲。一本の抵触が、他の借入の期限の利益喪失を連鎖的に引き起こす条項である。台帳にこの列がない会社は、抵触の影響額を必ず過小に見積もる。 対象契約1本の残高で考えていたものが、実際には全借入に及ぶ。
第六に、対象契約の残高と返済スケジュール。抵触したときに流動負債へ移る金額そのものである。
コミットメントラインを持っている場合は、これも台帳に入れる。特定融資枠契約に関する法律に基づく契約は、同法第2条により大会社、資本金3億円超の株式会社、最終事業年度末日の純資産10億円超の株式会社、金融商品取引法第193条の2第1項の監査証明を受けなければならない有価証券発行者などを借主とするもので、手数料について利息制限法第3条・第6条及び出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律第5条の4第4項の適用が除外される(同法第3条)。枠は契約であって現金ではない。 財務制限条項が付されていれば、抵触時に引き出せなくなる。手元流動性を語るときの分母から、抵触で消える枠を落として数えないと、資金繰りの見通しが実態より明るく出る(グループ資金管理(CMS・キャッシュプーリング)の導入判断|効く会社と効かない会社 )。
余裕度は金額でなく「あと何四半期」で出す# 台帳ができたら、四半期の着地見込みに条項を当てる。ここで出す数字の形が、経営会議での扱われ方を決める。
「純資産維持条項に対する余裕は8億円です」と報告すると、会議は「まだ8億あるのか」で終わる。同じ状況を「このペースが続くと、第3四半期末で条項を割ります」と報告すると、その場で議題になる。 金額の余裕は、それが多いのか少ないのかを判断する基準を聞き手が持っていない。四半期という単位なら、全員が持っている。
計算そのものは難しくない。各条項について、直近の実績値、当期の着地見込み、翌期の計画値を並べ、判定式に代入する。判定式が「純資産を基準年度の75%以上」なら、閾値の絶対額を出し、着地見込みとの差を出し、四半期あたりの純資産の減少ペースで割る。割った答えが「あと何四半期」である。
条項の型ごとに、効き方も、先に動く指標も違う。台帳の脇に一枚だけ、この対応表を置いておく。
条項の型 判定式のよくある形 何が直撃するか 先に動く指標 純資産維持 各年度末の純資産を、直前年度末又は基準年度末の一定割合以上に維持 減損損失、繰延税金資産の取崩し、多額の引当金、為替差損、配当 減損の兆候の認識、回収可能性の区分見直し 利益維持 2期連続で経常損失(又は当期純損失)を計上しない 本業の悪化、一時費用の計上時期 四半期の経常損益の着地見込み 負債比率・レバレッジ 有利子負債/EBITDAを一定倍率以下、又は負債資本倍率を一定以下 借入の増加、EBITDAの減少、リースの計上 設備投資の実行時期、EBITDAの月次推移 格付・担保・処分制限 格付の下限、担保提供や資産処分の事前承諾 資産売却による立て直し策そのもの 対応策の検討開始時点
最終行を見落とすと、対応策が条項に潰される。遊休不動産を売って純資産を回復させる案が、資産処分の制限条項に引っかかることがある。 資産売却を検討する会議に、担保・処分制限の有無を持ち込むのは財務の仕事である。
利益維持型の条項は、この計算の必要性がいっそう高い。よく見られるのが「2期連続で経常損失を計上しない」という型である。この条項の危うさは、1期目の損失が確定した時点で2期目の判定が半分終わっている点にある。1期目の期末に動かなければ、翌期は一年かけて崖に向かって歩くことになる。 1期目の損失が出た四半期に、翌期の見通しと打ち手をセットで銀行に持ち込む。これが最も交渉力の残る局面である。
動く順序を固定する。抵触が見えてからでは、この順序を踏む時間がない。 STEP 1
条項を台帳に写す
判定式・判定基準日・数値定義・治癒期間・クロスデフォルト・対象残高の六列。契約書は開かず台帳を開く運用にする
→
STEP 2
四半期の着地見込みに当てる
絶対額の余裕と、あと何四半期で割るかの両方を出す。減損の兆候を認識した四半期は必ず再計算する
→
STEP 3
二四半期前に自分から持ち込む
抵触見込みの根拠、原因が一過性か構造かの分解、対応策、求めるもの(猶予・条件変更・基準の緩和)を揃えて行く
→
STEP 4
交渉の材料を先に作る
差し出せるもの(資産売却、増資、配当の抑制、報告頻度の追加)を社内で決めてから交渉に入る
土台 土台=コベナンツの余裕度を、経営会議の定例議題に固定すること 。臨時の議題にしている限り、必要になった四半期には既に手遅れになっている。
事前に持ち込めば相談になり、事後に持ち込めば報告になる。同じ内容でも、返ってくるものが違う。
減損とコベナンツは、同じ四半期に走らせる# 実務で最も抜けるのがここである。
減損損失は、純資産維持条項を直撃する。有利子負債の額は変わらないので、負債比率型の条項にも同時に効く。にもかかわらず、減損の検討とコベナンツの検討は、社内の別の人が、別のタイミングでやっていることが多い。減損の兆候の判定は経理、コベナンツは財務。両者が同じ会議で顔を合わせるのは、たいてい数字が固まった後である。
直し方は運用の一行で済む。減損の兆候を認識した時点で、コベナンツの再計算を財務に依頼することを、決算の手続に書く。兆候の認識は減損損失の計上より早い工程にあるため、この一行を入れるだけで、対応可能な時間が一四半期から二四半期前倒しになる(固定資産の減損は資産グルーピングで決まる|兆候判定を期末の議論にしない )。
同じ理屈は、繰延税金資産の回収可能性の見直し、大型の引当金の計上、為替の急変による評価損にも当てはまる。純資産を動かす事象はすべて、条項の判定に効く。純資産を動かす意思決定の前に、条項への影響を一行で添える。 取締役会の議案書に欄を足すのが、最も確実である。
なお、抵触の懸念が現実味を帯びてきたとき、社内で先に議論になるのは配当である。会社法第461条第1項は、剰余金の配当等により株主に交付する金銭等の帳簿価額の総額が、その効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならないと定め、同条第2項が分配可能額の計算を定める。分配可能額の枠と、コベナンツが求める純資産の水準は、別々の制約である。 分配可能額に余裕があっても、配当によって純資産が減れば条項に近づく。配当政策の議論に、コベナンツの余裕度を必ず並べて出す(株主還元の方針をどう決めるか|配当・自社株買い・内部留保の線引き )。
銀行に持ち込むときに、揃えておく四つ# 事前に行く価値は、時間があることそのものではない。時間があるうちにしか作れない材料があることだ。
第一に、抵触見込みの根拠。着地見込みの前提を示す。売上の前提、原価の前提、一時費用の内訳。ここが粗いと、以降の話が全部「その見込みは妥当か」に戻される。
第二に、原因の分解。一過性の要因と構造的な要因を分ける。減損や特別損失のような一過性の要因が主因なら、翌期以降の返済能力は毀損していない。構造的な要因なら、条項の話の前に事業の話をすることになる。この分解を自分でやってから行くかどうかで、会議の性格が変わる。
第三に、対応策。資産売却、増資、コストの削減、親会社やスポンサーの支援。実行の可否と時期を、蓋然性の高い順に並べる。
第四に、求めるもの。権利行使の猶予か、条項そのものの変更か、判定基準の緩和か、判定基準日の変更か、返済期間の延長か。「どうしましょうか」と聞きに行くのは、求めるものが決まっていないという意味になる。 銀行の担当者は、行内で稟議を上げる立場にある。稟議に書ける形で持ち込むのが、結局は早い。
あわせて、差し出せるものを社内で先に決めておく。追加の担保、配当の抑制、報告頻度の追加、設備投資の上限設定。交渉の場で即答できるものが一つでもあると、話が前に進む。帰って検討しますを繰り返すと、条件は緩まらない。
現場では
売上高620億円の産業機械メーカーで、三年前に組成したシンジケートローン200億円に財務制限条項が付されていた。条項は二本。連結純資産の額を、直前年度末又は2023年3月期末のいずれか大きい額の75%以上に維持すること。そして各年度の連結経常損益を2期連続で損失としないこと。判定基準日はいずれも年度末のみで、四半期末の判定はなかった。CFOは着任後、財務部に台帳の作成を指示した。作成の過程で二つの発見があった。一つは、同じ契約書にクロスデフォルト条項 があり、対象が「借入金額10億円以上の他の金融債務」となっていたことである。同社には別途、地方銀行からの長期借入が合計68億円あり、うち2本が10億円を超えていた。抵触時に影響を受ける金額は200億円ではなく、268億円だった。もう一つは、コミットメントライン50億円の契約書にも同様の条項が入っており、抵触時には枠が使えなくなることだった。手元流動性の説明資料は、この50億円を含めて「流動性は充分」としていた。台帳が出来た四半期の翌四半期、海外子会社2社について減損の兆候が認識された。経理が兆候を認識した時点で、決算手続の新しい一行に従い、財務にコベナンツの再計算が依頼されている。減損見込額の幅は40億円から70億円。純資産維持条項の閾値までの余裕は、この時点で52億円だった。上限の70億円が出れば、割る。 経常損益は、減損損失が特別損失であるため直接には効かないが、翌期の償却負担の減少と、事業縮小に伴う一時費用の計上時期によっては影響し得た。CFOは、減損の金額が固まる二四半期前に、主幹事行に説明の場を作った。持って行ったのは四つである。着地見込みの前提を置いた三通りのシナリオ、減損が一過性であり営業キャッシュ・フローは黒字を維持するという分解、遊休不動産2件の売却(想定38億円、契約まで最短で八か月)と当期配当の見送り、そして求めるものとして「純資産維持条項の判定水準を75%から60%へ引き下げ、期間を2年間に限る」という具体案だった。交渉は四か月かかった。結果は、判定水準の引き下げは認められず、代わりに当該年度に限り減損損失の額を純資産の判定から除外する調整条項 が追加された。あわせて、四半期ごとの財務報告の提出と、遊休不動産の売却進捗の月次報告が義務づけられている。財務部長はこう言っている。こちらが提示した案は通らなかったが、通らなかった理由を聞けたことに意味があった。期末に駆け込んでいたら、案を出す前に条件を提示される側に回っていた、と。
決めるのは三つ# 第一に、契約から条項を抜き出して台帳にする。 判定式、判定基準日、判定に使う数値の定義、治癒期間の有無、クロスデフォルト条項の有無と範囲、対象契約の残高。六列である。クロスデフォルトの列がない台帳は、抵触の影響額を必ず過小に見積もる。コミットメントラインの枠も、抵触で消える前提で数える。
第二に、四半期の着地見込みに当てて、「あと何四半期」で報告する。 金額の余裕は聞き手に判断基準がなく、四半期という単位なら全員が持っている。利益維持型の条項は、1期目の損失が出た四半期が動くべき局面であり、そこを逃すと翌期は一年かけて崖に向かうことになる。
第三に、減損の兆候を認識した四半期に、コベナンツの再計算を必ず走らせる。 決算手続に一行書くだけで、対応可能な時間が一四半期から二四半期前倒しになる。繰延税金資産の回収可能性の見直し、大型の引当金、為替による評価損も同じ扱いにする。純資産を動かす議案には、条項への影響を一行添えて取締役会に出す。
そのうえで、二四半期前に自分から銀行へ持ち込む。抵触見込みの根拠、一過性か構造かの分解、対応策、求めるもの。この四つを揃えていくと、会議は交渉になる。揃えずに行くと、説明になる。 そして数字が固まってから行くと、通知になる。同じ相手に同じ内容を話しても、返ってくるものが三通りに分かれる。
まとめ
財務制限条項は契約時に確認されたきり開かれず、減損や赤字が見えた期に初めて探されることが多い。抵触の帰結は返済請求だけではない。第一に期限の利益の喪失で、民法第137条が定める法定の喪失事由(破産手続開始の決定、担保の滅失・損傷・減少、担保供与義務の不履行)とは別に、契約が定めた喪失事由として働く。第二に表示への影響で、財務諸表等規則第51条は長期借入金等を固定負債とする一方、同規則第47条第6号は「その他の負債で一年内に支払又は返済されると認められるもの」を流動負債とし、同規則第8条第1項は一年内を貸借対照表日の翌日から起算して一年以内の日とする。銀行が現に請求していなくても、一年内に返済されると認められれば流動負債へ移る。第三に注記で、同規則第8条の27は、貸借対照表日において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在し、解消・改善のための対応をしてもなお重要な不確実性が認められるときに四項目の注記を求める。抵触は事象又は状況、権利行使の猶予は対応に当たり、猶予が期末後に取れているかで注記の要否が変わる。国際的にはIAS第1号の改正「Non-current Liabilities with Covenants」(2022年10月公表、2024年1月1日以後開始する年次報告期間から適用)が、報告日後に遵守すべき条項は報告日の分類に影響しないと明記したが、日本基準に対応する明文はない。運用は台帳から始める。判定式、判定基準日(年度末のみか各四半期末か)、判定に使う数値の定義(連結か単体か、純資産に非支配株主持分や新株予約権を含むか、EBITDAの足し戻し)、治癒期間の有無、クロスデフォルト条項の有無と範囲、対象契約の残高と返済スケジュールの六列を持たせる。クロスデフォルトの列を欠く台帳は影響額を過小に見積もる。条項の型ごとに効き方と先行指標が異なる点も押さえる。純資産維持型は減損・繰延税金資産の取崩し・引当金・配当が直撃し、利益維持型は四半期の経常損益の着地見込みが先行指標になり、負債比率型は設備投資の実行時期とEBITDAの推移で動く。そして格付維持や担保提供・資産処分の制限は、対応策として想定していた資産売却そのものを縛ることがある。コミットメントラインも台帳に入れる。特定融資枠契約に関する法律に基づく枠は契約であって現金ではなく、条項に抵触すれば引き出せない。手元流動性の分母から落として数える。余裕度は絶対額でなく「あと何四半期で割るか」で報告する。金額の余裕は聞き手に判断基準がなく、四半期という単位は全員が共有している。利益維持型の「2期連続で経常損失を計上しない」という条項は、1期目の損失が確定した時点で2期目の判定が半分終わっており、1期目の期末に動くのが唯一の局面になる。実務で最も抜けるのは減損との連動である。減損損失は純資産維持条項を直撃し、負債比率型にも同時に効くが、減損の検討は経理、コベナンツは財務が担い、顔を合わせるのは数字が固まった後になりがちである。減損の兆候を認識した時点でコベナンツの再計算を依頼することを決算手続に書けば、対応可能な時間が一四半期から二四半期前倒しになる。繰延税金資産の回収可能性の見直し、大型の引当金、為替による評価損も同じ扱いにする。配当については、会社法第461条第1項・第2項が定める分配可能額の枠と、条項が求める純資産の水準は別々の制約であることを踏まえ、配当政策の議論に余裕度を並べて出す。銀行には二四半期前に自分から持ち込む。揃えるのは、抵触見込みの根拠となる着地見込みの前提、一過性か構造かの原因分解、実行可否と時期を付した対応策、そして求めるもの(猶予・条項の変更・基準の緩和・判定基準日の変更・期間延長)の四つである。あわせて差し出せるもの(追加担保、配当の抑制、報告頻度の追加、設備投資の上限)を社内で先に決めておく。事前に行けば相談になり、事後なら報告になり、数字が固まってからなら通知になる。同じ内容でも返ってくるものが変わる。
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執筆 浅香 祐輔
Never Red株式会社 代表取締役・CEO
アビームコンサルティング、アクセンチュアを経て Never Red を創業。専門は SAP財務会計(FI/CO)の導入PM と 経理業務改革。東証プライム企業の中期経営計画策定から D2C の経営再建まで、現場を回り切る実務家。
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