専門店チェーンの経理部長が、四半期レビューで監査法人に聞かれる。「自社ポイントの付与額は年間いくらですか」。 集計すると5.4億円相当だった。会社は付与時に何も計上せず、ポイントが使われた月に販売促進費として処理している。監査法人は「重要な権利に当たるかの検討結果を見せてください」と言う。 経理部長は販促部門に行き、ポイントの規約と付与実績を求める。返ってきたのは「有効期限は最終利用日から1年です」という説明と、月次の付与ポイント数の表だけだった。 交換の進み方も、失効した実績も、誰も集計していない。この会社が抱えているのは、会計処理の選択より手前の、判断に必要な数字を販促部門から取る仕組みがないという問題である。

POINT
判定の起点は、ポイントという名前ではなく、顧客に与えたものがオプションかどうかである。国税庁「『収益認識に関する会計基準』への対応について~法人税関係~」(平成30年5月)は、ポイント等を付与した場合の収益の計上の単位を説明する箇所で、既存の契約に加えて追加の財又はサービスを取得するオプションを顧客に付与する場合、そのオプションが、当該契約を締結しなければ顧客が受け取れない重要な権利を顧客に提供するとき(例として、通常の値引きの範囲を超える値引き)にのみ、当該オプションから履行義務が生じる(指針48)と整理している。 重要な権利と判断した場合の配分と振替は、平成30年5月30日付課法2-8ほか2課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明が、2-1-39の3の解説に掲げる設例(収益認識基準適用指針〔設例22〕を一部加工)に具体的に示されている。設例では、商品100,000円の販売で10,000ポイント(1ポイント=1円の値引きに使える)を付与し、将来9,500ポイントが交換されると見込んで、1ポイント当たりの独立販売価格を0.95円(合計9,500円)と見積る。取引価格100,000円を、商品91,324円(=100,000円×100,000円÷109,500円)と契約負債8,676円(=100,000円×9,500円÷109,500円)に配分する。 以後の振替は、X1年度末が(交換分4,500ポイント÷総数9,500ポイント)×8,676円=4,110円、X2年度末は交換されるポイント総数の見積りを9,700ポイントに更新したうえで(交換分累計8,500ポイント÷総数9,700ポイント)×8,676円-4,110円=3,493円である。同解説は、オプションの独立販売価格を直接観察できない場合には、オプションが行使される可能性等の要素を反映して独立販売価格を見積もることとされていること(収益認識基準適用指針50)を挙げたうえで、非行使部分が見積もられる場合には、ポイント等についての履行義務の取引価格には非行使部分の額が配分されないこととなるため、商品引換券等に関する非行使部分の取扱い(基通2-1-39の2)と同様の取扱いは設けていない、と明記している。 失効すると見込む分は、後から取り込むのではなく、最初の配分の段階ですでに除かれている。税務は自動では付いてこない。法人税基本通達2-1-1の7は、法人が資産の販売等に伴い、将来の資産の販売等に際して呈示があった場合にその単位数等と交換に値引きして又は無償により販売等をすることとなるポイント又はクーポンその他これらに類するもの(当該法人以外の者が運営するものを除く。以下「自己発行ポイント等」という。)を不特定多数の者に付与する場合に限り、次の要件の全てに該当するときは、継続適用を条件として、当初の資産の販売等とは別の取引に係る収入の一部又は全部の前受けとすることができる、とする。 要件は四つある。(1)当初資産の販売等の契約を締結しなければ相手方が受け取れない重要な権利を与えるものであること。(2)発行年度ごとに区分して管理されていること。(3)有効期限の経過や規約違反その他の法人の責に帰さないやむを得ない事情がある場合以外の理由により一方的に失わせることができないことが規約その他の契約において明らかにされていること。(4)次のいずれかの要件を満たすこと。イは、その付与した自己発行ポイント等の呈示があった場合に値引き等をする金額が明らかにされており、かつ、将来の資産の販売等に際して、たとえ1ポイント又は1枚のクーポンの呈示があっても値引き等をすることとされていること。ロは、その付与した自己発行ポイント等が、当該法人以外の者が運営するポイント等又は自ら運営する他の自己発行ポイント等で、イに該当するものと、所定の交換比率により交換できることとされていること。 そして(4)イの注が、一定単位数等に達しないと値引き等の対象にならないもの、割引券(将来の資産の販売等の対価の額の一定割合を割り引くことを約する証票)及びいわゆるスタンプカードのようなものは、イの要件を満たす自己発行ポイント等には該当しないと明記する。さらに法人税基本通達2-1-39の3は、前受けとした額を、値引き等をするに応じて、その失効をすると見積もられる自己発行ポイント等も勘案して、値引き等をする日の属する事業年度の益金の額に算入するとしたうえで、付与の日から10年が経過した日(同日前に、発行に係る事業年度ごとに区分して管理しないこととなったこと、有効期限が到来すること、法人が継続して収益計上を行うこととしている基準に達したことのいずれかが生じた場合には、その日)の属する事業年度終了の時に行使されずに未計上となっているものがあれば、その前受けの額を当該事業年度の益金の額に算入する、とする。 同通達の注は、失効の見積りについて、過去における失効の実績を基礎とする等合理的な方法により見積もられたものであること及びその算定の根拠となる書類が保存されていることを要するとしている。

分かれ目は「通常の値引きの範囲を超えるか」の一点

販促費で処理してよいか、負債に計上するかは、ポイントかクーポンかという形式では決まらない。指針48が示す判定は、そのオプションが、当該契約を締結しなければ顧客が受け取れない重要な権利を提供するかどうかの一点である。 国税庁の資料が例として挙げる「通常の値引きの範囲を超える値引き」という言い方が、実務の物差しになる。

たとえば、誰でも店頭で受け取れるチラシの10%引券は、その買い物をしなくても受け取れるので、重要な権利ではない。一方、購入金額に応じて付与され、次回以降の買い物で1円単位の値引きに使える自社ポイントは、買った人しか受け取れない。 同じ「値引き」でも扱いが割れるのは、ここが理由である。

そして、重要な権利でないと判断した側にも、税務の帰結がある。 国税庁の趣旨説明(2-1-1の7の解説)は、いわゆる来店者ポイントや街頭で無料配付されるクーポンなどのように、顧客に対する商品の販売等に際して付与するポイント等以外のものは、引き続き引当金処理を行うこととなるが、この場合の引当金の繰入額は税務上損金算入することはできないとしている。引当金を積んでも税務上の効果はない。 同じ解説は、会計上、重要な権利を与えるものではないと判断される場合には、別の履行義務として区分せず、当初の資産の販売等の際に受け取る対価の全額を収益に計上することになり、この点は税務上も同様であるとし、会計上別の履行義務として区分せずに全額を収益に計上している処理を行っている場合(引当金処理を行っている場合も含む)には、申告調整により、計上した売上の一部を否認し、前受金処理することは認められないとしている。会計で選んだ側が、そのまま税務の側でもある。 後から申告調整で有利な側へ移ることはできない。

判定を誤りやすいのが、購入者だけに配る割引券である。買わなければ受け取れないという意味では自社ポイントと同じ構造を持つので、会計上は通常の値引きの範囲を超えるかどうかで判断する。 だが税務では別の壁がある。法人税基本通達2-1-1の7の(4)イの注により、割引券とスタンプカードのようなものは要件を満たさない。 趣旨説明は理由を、割引券は次回購入する商品の対価によって割り引かれる金額が変わるため発行時点で計上すべき金額が判然としないこと、スタンプカードは1個押した時点で重要な権利を与えたかどうかが判然としないこと、と説明する。会計と税務を一致させたいなら、設計の段階で「率で割り引く券」より「1ポイントから使える金額の値引き」に寄せる(会計処理の判断メモはなぜ必要か、毎年同じ論点を議論し直さないための記録)。

配分する金額は、値引相当額そのものではない

重要な権利と判断したら、取引価格を商品とポイントに配分する。ここで、付与したポイントの額面をそのまま繰り延べる会社があるが、それは多くの場合に過大である。 国税庁の趣旨説明の設例が、1ポイント=1円の値引きに使えるポイントについて1ポイント当たりの独立販売価格を0.95円と見積っているのは、交換される見込みが10,000ポイント中9,500ポイントだからである。

ポイントに配分する金額は、額面ではなく、交換される見込みまで織り込んだ見積りである
付与ポイントの値引相当額
1ポイント当たりの値引額×付与ポイント数。規約で1ポイント=1円なら額面と一致する
×
交換されると見込む割合
過去の交換実績を基礎に見積る。有効期限の定め方、付与の月、キャンペーンの有無で水準が変わる
=
オプションの独立販売価格の見積り
直接観察できない場合は行使される可能性等の要素を反映して見積る(適用指針50)。これと商品の独立販売価格の比率で、受け取った対価を配分する
額面をそのまま繰り延べると負債が過大になり、交換見込みを100%と置くと売上が過小になる。見積りの根拠が毎期の残高を左右する。

配分が決まれば、あとの振替は機械的である。決算日までに交換されたポイントの累計を、その時点で交換されると見込むポイント総数で割り、配分額に掛け、すでに収益に計上した額を差し引く。 趣旨説明の設例では、契約負債8,676円に対し、X1年度は(4,500÷9,500)×8,676円=4,110円を収益へ振り替える。X2年度は4,000ポイントが交換されて累計8,500ポイントとなり、交換見込総数の見積りを9,700ポイントに更新したので、(8,500÷9,700)×8,676円-4,110円=3,493円になる。 期末の契約負債は、配分額から振替済みの額を引いた残り、すなわち配分額×(1-交換累計÷交換見込総数)である。

ここで見落とされやすいのが、失効分の扱いである。 商品引換券等の場合は、非行使部分を見積もって比例的に収益へ取り込む定めがある(法人税基本通達2-1-39の2)。ポイントには、それがない。 趣旨説明の2-1-39の3の解説は、適用指針50によりオプションが行使される可能性等の要素を反映して独立販売価格を見積もることとされていることから、非行使部分が見積もられる場合には、ポイント等についての履行義務の取引価格には非行使部分の額が配分されないこととなるため、商品引換券等に関する非行使部分の取扱い(基通2-1-39の2)と同様の取扱いは設けていないと明記している。失効すると見込む分は、最初の配分ですでに除かれている。 したがって、契約負債に「非行使部分」という残りは存在せず、後から取り込む処理も要らない。代わりに毎期動くのは、交換見込総数の見積りの更新である。 設例のX2年度のように見込総数を9,500から9,700へ変えると、同じ交換累計でも振替額が変わる。

ポイント・券の型会計上の扱いの起点法人税基本通達2-1-1の7の前受け実務で先に確認すること
購入額に応じて付与し、1ポイントから金額値引きに使える自社ポイント通常の値引きの範囲を超えるなら重要な権利4要件をすべて満たし継続適用なら可能発行年度ごとの区分管理と、一方的に失効させない旨の規約の記載
購入者に配る「次回10%引」の割引券通常の値引きの範囲を超えるかで判断(4)イの注により、割引券は要件を満たさない会計と税務で扱いが割れる前提で申告調整を設計する
スタンプ10個で1杯無料通常の値引きの範囲を超えるかで判断(4)イの注により、スタンプカードのようなものは該当しない他社の1ポイント1円のポイント等と所定の交換比率で交換できるなら(4)ロで救われる余地がある
来店者ポイント、街頭で無料配付するクーポン購入しなくても受け取れるため、重要な権利ではない対象外。引当金処理となり、繰入額は損金算入できない損金にならない前提で販促の予算を組む
他社が運営する共通ポイントへの付与自社の履行義務か、他社への支払かを整理2-1-1の7は当該法人以外の者が運営するものを自己発行ポイント等から除く他社との契約上、自社が負う義務の中身
顧客が代金を払って買うポイント・チャージ残高商品引換券等に近い前受金・契約負債別の論点。商品引換券等は基通2-1-39、非行使部分は基通2-1-39の2資金決済法の前払式支払手段に当たるか

最後の行は、経理だけでは判断しきれない。資金決済に関する法律第3条第1項第1号は、前払式支払手段を、証票等に記載され又は電磁的方法により記録される金額に応ずる対価を得て発行される証票等又は番号、記号その他の符号であって、発行者等から物品等を購入する場合などに代価の弁済のために使用することができるもの、と定義する。 定義の要は「対価を得て発行される」である。購入に応じて無償で付与するポイントと、顧客が代金を払って手に入れるポイントでは、この要件の当てはまりが変わる。 該当する場合の規制は軽くない。同法第4条第2号と施行令第4条第2項により、発行の日から6月内に限り使用できるものは適用除外となるが、それを超える有効期限を置くなら、第5条第1項により自家型前払式支払手段のみを発行する者は、基準日(毎年3月31日と9月30日)の未使用残高が発行を開始してから最初に基準額を超えることとなったときに内閣総理大臣への届出が必要になり、第14条第1項により基準日未使用残高が基準額を超えるときは、その2分の1以上に相当する額の発行保証金を供託しなければならない。施行令第6条は、この基準額を千万円と定める。 販促の企画として「ポイントを買えるようにする」案が出たときは、会計の前にここを確かめる。

交換見込総数は、経理だけでは見積れない

契約負債の残高を決めるのは、交換されると見込むポイント総数である。この数字は経理の中には存在しない。 会員別のポイント残高、付与月ごとの交換の進み方、有効期限の到来で失効した実績。どれも販促部門かポイント管理システムの側にある。

しかも、水準は施策で動く。有効期限を「最終利用日から1年」と定めている会社では、来店のたびに期限が延びるため、期限切れによる失効は少なくなる。 付与率を上げるキャンペーンを打った月の分は、まとめて使われやすい。販促が施策を変えると、経理の見積りの前提が黙って変わる(広告宣伝費・販促費の期間帰属、費用と売上の時期がずれる事業の予実管理)。

だから、見積りは単発の作業で終わらせず、期ごとに実施する工程として組み込む。法人税基本通達2-1-39の3の注が、失効の見積りについて、過去における失効の実績を基礎とする等合理的な方法により見積もられたものであることと、その算定の根拠となる書類が保存されていることを要するとしているのは、この工程があることを前提にしている。

交換見込総数は、四つの工程を毎期繰り返して初めて根拠のある数字になる
実績を取る
付与月別・キャンペーン別の交換数と失効数を、ポイント管理システムから決まった様式で受け取る
→
見込総数を更新する
直近の実績をもとに交換見込総数を置き直し、前期からの変動の理由を文書に残す
↑
交換見込総数
↓
後から検証する
前期に置いた見込総数と実際の交換・失効を突き合わせ、ずれの原因を次期の見積りに返す
←
決算に反映する
交換累計÷交換見込総数で振替額を出し、契約負債の残高と注記に必要なデータを揃える
四つ目を飛ばすと、見込総数は最初に置いた数字のまま何年も据え置かれ、根拠を聞かれたときに答えられなくなる。

四つ目の検証を工程に入れておくと、監査人からの質問にも、税務調査での説明にも同じ資料が使える(見積りの精度を後から検証する方法、引当金と耐用年数のバックテスト)。注記に必要なデータを期中から取りに行く設計も、同じ工程に相乗りさせる(注記情報の収集設計、開示に必要なデータを期中の入口で取る仕組み)。

売上高が減ることの、社内への波及を先に洗う

処理を切り替えると、変わるのは注記だけではない。国税庁の資料が消化率100%と仮定して示す数値例で比べると、従来の処理は売上高10,000とポイント引当金繰入1,000の両建てで、差引きの利益は9,000。新しい処理は収益9,090で、契約負債910が残る。 利益への影響は90だが、売上高は910減る。

減った売上高は、社内の別の場所に効く。売上高を分母にした販管費率や広告宣伝費比率、売上高に連動する店舗の歩合賃料や販売手数料の計算基礎、役員報酬や事業部の評価に使う売上高の目標、そして借入契約の財務制限条項のうち売上高を使う指標である。 どれも会計の話ではないが、切り替えの期に計算の基礎が変わる。歩合賃料の契約を、基礎が変わることに気づかないまま更新すると、後から相手方との協議になる。

もう一つ、動きの向きを押さえておく。ポイントに配分した収益は、顧客がポイントを交換した期に立つ。つまり売上高の一部が翌期以降へ移る。 定常状態では、当期に繰り延べる額と前期から戻ってくる額がおおむね入れ替わるため、損益への影響は契約負債の残高の増減に収まる。ただし、付与率を引き上げるキャンペーンを打った期は、繰り延べる額が戻ってくる額を上回り、その分だけ当期の売上高が押し下げられる。 販促の企画が、当期の売上高を自動で削る構造になるということである。

設例

売上高620億円の専門店チェーン(3月決算、直営218店)。税込購入額100円につき1ポイントを付与し、1ポイント=1円で次回以降の買い物に使える。有効期限は最終利用日から1年。 ポイント付与の対象となる税込売上は540億円(税抜490億円)で、年間の付与は5.4億ポイント、金額にして5.4億円相当だった。会社は付与時に何も計上せず、使われた月に販売促進費として処理していた。 検討は三つの順で進めた。第一に、重要な権利に当たるかを判定した。 ポイントは購入した顧客にしか付与されず、1ポイントから値引きに使えるため、通常の値引きの範囲を超える値引きに当たると整理し、履行義務として扱うこととした。第二に、交換見込総数を出した。 ポイント管理システムから付与月別の交換実績を3年分取り出したところ、付与したポイントのうち交換されたのは68%で、付与5.4億ポイントに対する交換見込総数は3.67億ポイントとなった。1ポイント当たりの独立販売価格は0.68円、合計3.67億円である。 商品の独立販売価格490億円と合わせて配分すると、ポイントへの配分額は490億円×3.67億円÷493.67億円≒3.64億円、商品への配分額は約486.36億円になった。当期中に交換されたのは2.5億ポイントで、収益への振替額は(2.5÷3.67)×3.64億円≒2.48億円。期末の契約負債は3.64億円×(1-2.5÷3.67)≒1.16億円となった。 未使用ポイント残高は2.9億ポイント、うち交換見込は1.17億ポイントである。従来の処理と比べて当期の売上高は約1.16億円減り、その分が翌期以降へ移る。 第三に、税務の取扱いを点検した。法人税基本通達2-1-1の7の4要件のうち、(1)重要な権利と(4)イの1ポイントからの値引きは満たしていたが、(2)発行年度ごとの区分管理は、ポイント管理システムが付与年度を持っておらず満たしていなかった。 さらに、ポイント規約に「当社の判断によりポイントを失効させることがある」という条項があり、(3)の一方的に失わせることができないことが明らかにされていること、を満たさなかった。会社はシステム改修と規約の改定に9か月かかると見込み、その期は会計上の契約負債1.16億円を申告調整で加算し、繰延税金資産を計上する処理を選んだ。 あわせて、販促部門が企画していた「1ポイント1円でポイントを購入できるキャンペーン」は、対価を得て発行することになり、有効期限が発行日から6月を超えるため資金決済法の適用除外に当たらず、基準日未使用残高が基準額を超えれば届出と発行保証金の供託が必要になりうると整理し、見送った。また、別に配っていた来店者向けの無料クーポンについては、購入に伴う付与ではないため重要な権利に当たらず、引当金を積んでも繰入額は損金算入できないことを確認し、販促予算の建て方を変えた。 運用面では、ポイント管理システムから付与月別・キャンペーン別の交換数と失効数を毎月経理に渡す様式を定め、交換見込総数の更新と前期見込みとの突合を、四半期の決算工程に組み込んだ。

※設例。会社、数値は説明のために置いた架空のもので、特定の会社の実績ではない。

ポイントの会計と税務で決めておく三つのこと

第一に、販促費か契約負債かを、ポイントという名前ではなく、重要な権利に当たるかで判定する。 国税庁の資料が指針48として整理するとおり、既存の契約に加えて追加の財又はサービスを取得するオプションを顧客に付与する場合、そのオプションが当該契約を締結しなければ顧客が受け取れない重要な権利を提供するときにのみ、そのオプションから履行義務が生じる。判定の物差しは、通常の値引きの範囲を超えるかどうかである。 重要な権利でないと判断した側にも帰結がある。国税庁の趣旨説明は、来店者ポイントや街頭で無料配付されるクーポンなどは引き続き引当金処理を行うことになるが、その繰入額は税務上損金算入できないとし、会計上別の履行義務として区分せず全額を収益に計上している場合(引当金処理を含む)に、申告調整で売上の一部を否認して前受金処理することは認められないとしている。

第二に、配分と振替を、額面ではなく交換見込みに基づく見積りで計算する。 ポイントに配分する金額は、値引相当額に交換されると見込む割合を掛けた見積りであり、オプションの独立販売価格を直接観察できない場合は行使される可能性等の要素を反映して見積る(適用指針50)。以後の振替は、交換累計÷交換見込総数×配分額-既計上額で計算し、期末の契約負債は配分額×(1-交換累計÷交換見込総数)になる。 趣旨説明の設例では、契約負債8,676円に対しX1年度が(4,500÷9,500)×8,676円=4,110円、X2年度が見込総数を9,700に更新して(8,500÷9,700)×8,676円-4,110円=3,493円である。失効すると見込む分は最初の配分で除かれているため、商品引換券等の非行使部分の取扱い(基通2-1-39の2)と同様の取扱いはポイントには設けられていない。 毎期動くのは、交換見込総数の見積りの更新である。

第三に、税務の要件を別に点検し、差異は申告調整として設計しておく。 法人税基本通達2-1-1の7は、不特定多数の者に付与する自己発行ポイント等について、継続適用を条件に、(1)重要な権利、(2)発行年度ごとの区分管理、(3)一方的に失効させられないことの規約上の明記、(4)1ポイント又は1枚からの値引き等(または、そうしたポイント等との所定の交換比率による交換)という4要件をすべて満たす場合に限り、前受けとすることを認める。同通達の(4)イの注は、一定単位数等に達しないと値引き等の対象にならないもの、割引券、いわゆるスタンプカードのようなものはイの要件を満たさないとしている。 また2-1-39の3は、付与の日から10年が経過した日、または、それより前に発行年度ごとの区分管理をしなくなったこと・有効期限の到来・継続して収益計上を行うこととしている基準に達したことのいずれかが生じた日の属する事業年度終了の時に、未計上分を一括して益金に算入するとする(税務申告と決算をつなぐ期中の分担、申告調整を期末に慌てて作らない)。あわせて、交換数と失効数を販促部門から決まった様式で受け取り、見込総数を期ごとに置き直して前期と突き合わせる工程を決算に組み込む。

まとめ
自社ポイントを販促費のままにしてよいか。答えは、付与したポイントが、契約を結ばなければ受け取れない重要な権利に当たるかで決まる。当たるなら取引価格の一部を契約負債に回し、交換見込総数の見積りを毎期置き直す。税務で前受けにできるのは、法人税基本通達2-1-1の7の4要件をすべて満たし、継続して適用する場合に限られる。まず、付与月別の交換数と失効数を、販促部門から決まった様式で受け取る仕組みを作る。代金を取って発行するポイントを設計に入れるなら、資金決済法の届出と供託に当たるかを先に確かめる。

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