予算のヒアリングで、事業部長が同じことを言う。本社費が高い。経営企画は配賦基準の説明を始める。売上高で割っている、人員数を加味している、直課できるものは直課している。事業部長は最後まで聞いて、それで結局いくらなんですか、と聞く。 噛み合っていないのは、片方が配分の話をし、片方が総額の話をしているからである。そして総額の話をできる資料は、その部屋のどこにもない。

POINT
本社費の議論が配賦基準の押し付け合いに落ちるのは、総額を測る物差しが社内にないからである。ここで見落とされているのは、会計基準の側が本社費の配賦を要求していない という事実である。企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準」第7項は、「企業の本社又は特定の部門のように、企業を構成する一部であっても収益を稼得していない、又は付随的な収益を稼得するに過ぎない構成単位は、事業セグメント又は事業セグメントの一部とならない」 とする。本社は、そもそも事業セグメントではない。第23項は開示を最高経営意思決定機関に報告される金額に基づいて行うことを求め、特定の収益、費用、資産又は負債の配分は同機関が使用する算定に含まれている場合にのみ 報告セグメントの各項目に含めることができるとしたうえで、配分する場合には合理的な基準に従って配分しなければならない とする。そして第24項(2)は、報告セグメントの利益の合計額と損益計算書の利益計上額との間に差異があり、差異調整に関する事項の開示からその内容が明らかでない場合に、その内容の開示を求め、例として 「会計処理の方法の違いによる差異がある場合や、事業セグメントに配分していない額がある場合には、その主な内容を明らかにする必要がある」 と書く。同項(3)は、企業が事業セグメントに資産を配分していない場合には、その旨を開示しなければならない とする。配賦しないという選択は、制度上ちゃんと存在する。存在するなら、配賦基準の合意は本社費の議論の本体ではない。本体は総額である。

事業側の不満の本体は、配賦基準ではない

配賦基準の交渉が延々と続く会社では、たいてい基準が三回以上変わっている。売上高比から始まり、人員数を加味し、直課を増やし、機能別の使用量に近づけていく。基準が精緻になるほど、事業側の不満は減るはずである。実際には減らない。

減らない理由は、基準を変えても総額が変わらないからである。売上高比を人員数比に変えれば、負担が重くなる事業部と軽くなる事業部が入れ替わるだけで、合計は一円も動かない。議論はゼロサムなので、精緻化はゼロサムの分け方を細かくしているにすぎない。 事業部長が本当に聞きたいのは「なぜ私に三億円なのか」ではなく「なぜ全社で三十億円なのか」である。

もうひとつ、配賦の議論が持つ副作用がある。配賦額が事業部の評価に効くと、事業部は本社機能の利用を減らす方向に動く。 法務のレビューを飛ばし、情報システムの標準を外れ、人事の採用支援を使わずに現場で採る。使わなければ配賦が減るなら合理的な行動だが、全社では規模の経済が失われ、統制も緩む。配賦基準を精緻にするほど、この誘因は強くなる。

だから順序を入れ替える。総額の説明責任をコーポレート側に先に負わせ、それが済んでから配賦を決める。 順序を入れ替えるだけで、議論の性質が変わる。ゼロサムの分配交渉が、コーポレート部門の投入量に対する評価に変わる。

同じ会議、同じ参加者でも、入り方を変えると議題の性質が変わる。
BEFORE
配賦基準から入る
売上高比か人員数比かを議論する。基準を変えても総額は一円も動かないため、負担の重い事業部と軽い事業部が入れ替わるだけのゼロサム交渉になる
AFTER
総額の説明から入る
売上比・一人当たり・機能別単価の五期推移をコーポレート側が先に出す。議題が分配交渉から、機能ごとの投入量の妥当性の評価に変わる
配賦の合意は、総額に納得した後でなければ成立しない。

総額を測る三つの物差し

総額の説明といっても、いくらが正解という数字はない。必要なのは正解ではなく、複数の角度から同じ数字を見ることである。 実務で機能する物差しは三つで、いずれも社内のデータだけで作れる。

一つ目が売上比である。 本社費の総額を連結売上高で割る。単年では意味がないので、五期分を並べる。見るのは水準ではなく傾きで、売上が伸びた期に本社費が同じ比率で伸びているなら、コーポレート部門は事業のスケールに連動する構造になっている。連動しない構造にすることが本来の目的なので、比率が横ばいであること自体が課題として立つ。

二つ目が従業員一人当たりである。 本社費の総額を連結の従業員数で割る。売上比と一人当たりが逆方向に動いている期は、必ず理由がある。売上は伸びたが人は増えていない、あるいはその逆。この二つを並べると、本社費が売上に連動しているのか人員に連動しているのかが分かる。人員に連動しているなら、事業側の増員抑制が本社費の抑制につながるという説明が成り立つ。 成り立たないなら、その説明は使ってはいけない。

三つ目が機能別単価である。 これが最も効く。本社費を機能で分解し、機能ごとに分母を変えて単価を出す。給与計算なら一人当たり単価、購買なら一発注当たり単価、経理なら一仕訳または一取引当たり単価、法務なら一契約当たり単価、情報システムなら一アカウント当たり単価。分解の粒度は、外に出したときに見積りが取れる粒度に合わせる。 シェアードサービスやBPOの見積りは、ほぼこの単位で提示される。つまり機能別単価は、そのまま外部との比較単位になる(シェアードサービスとBPOの判断 経理機能のどこを外に出すか)。

三つを並べた資料を、予算のヒアリングの前にコーポレート側が出す。出す側と問われる側が逆になった瞬間に、会議の生産性が変わる。

外部水準は「本社費」という科目では取れない

比較したいという要求はすぐ出る。他社はいくらか、業界平均はいくらか。ここで正直に言っておく必要がある。本社費という科目は、外部に開示される財務諸表のどこにも存在しない。

販売費及び一般管理費には販売部門の費用が混ざり、その内訳の開示範囲は会社によって違う。セグメント情報も助けにならない。企業会計基準第17号第24項(2)が求めているのは、事業セグメントに配分していない額がある場合にその主な内容 を明らかにすることであって、金額の内訳を機能別に開示させる規定ではない。第25項は差異調整に関する事項の開示を求め、報告セグメントの売上高・利益・資産・負債の合計額と財務諸表計上額との調整、およびその他の開示される各項目について報告セグメントの合計額とその対応する科目の財務諸表計上額 を示させるが、これも調整の額であって機能別の単価ではない。同業他社の本社費を横に並べた表を作れるという前提そのものが、成り立たない。

そこで、制度の側に用意されている「他人が決めた物差し」を転用する。二つある。

ひとつが移転価格である。 国税庁の移転価格事務運営要領3-11は、企業グループ内における役務提供に係る独立企業間価格の検討を扱う。同項(1)は、役務提供が支援的な性質のもので中核的事業活動に直接関連しないこと、無形資産を使用していないこと、重要なリスクの引受け・管理・創出を行っていないこと、研究開発・製造・販売等の一定の業務に該当しないこと、同種の役務提供が非関連者との間で行われていないことなどの要件をすべて満たす場合に、「役務提供に係る総原価の額を従事者の従事割合、資産の使用割合その他の合理的な方法により当該役務提供を受けた者に配分した金額に、当該金額に100分の5を乗じた額を加算した金額」 を対価としていれば、その額を独立企業間価格として取り扱うとする。

ここで押さえるべきは二点である。第一に、同項のなお書きは「役務提供に係る総原価の額には、原則として、当該役務提供に関連する直接費の額のみならず、合理的な配賦基準によって計算された担当部門及び補助部門における一般管理費等の間接費の額も含まれることに留意する」 と明記している。総原価には間接費が入る。第二に、支援的な性質で無形資産も重要なリスクも伴わない役務には、5%しか上乗せが認められていない。 逆に言えば、5%を超える価値を主張したいコーポレート機能は、支援的な性質を超えていることを自分で説明しなければならない。この線引きは、本社機能を「守り」と「攻め」に分けるときの、社外で通用する唯一の基準に近い。 同項(2)は、これに当たらない役務提供のうち本来の業務に付随して行われたものについて、総原価の額を独立企業間価格とする原価基準法に準ずる方法等の適用を検討するとしている。

もうひとつが事業税の分割基準である。 地方税法第72条の48第3項は、二以上の道府県に事務所又は事業所を設けて事業を行う法人について、課税標準額の総額を分割基準により関係道府県ごとに分割することを定め、同項第1号は製造業について事業所等の従業者の数に按分すること とする。そして同条第4項第1号は、従業者の数を事業年度終了の日現在における数値としたうえで、ただし書で資本金の額又は出資金の額が一億円以上の製造業を行う法人の工場である事業所等については、当該数値に当該数値(当該数値が奇数である場合には、当該数値に一を加えた数値)の二分の一に相当する数値を加えた数値 とする。

工場だけ従業者数が一・五倍に嵩上げされる。つまり、本社の人員を増やすと、分割基準における本社所在地の比重が相対的に上がる。 事業税の総額そのものが動くのは超過税率を課す団体との配分が変わる場合に限られるが、本社の人員配置が納税地の配分を動かすという事実は、コーポレート部門の人員計画を議論する材料になる。 そして同条第5項は、事業年度の中途で新設又は廃止された事業所等について月数按分を定めており、期中の移転は按分で効く。

総額を説明したあとで、配賦を決める

総額の議論が済んだら、配賦に戻る。ここでの設計指針は二つに絞られる。

第一に、機能別単価が作れた機能は、単価×使用量で配賦する。 給与計算は在籍人数、購買は発注件数、法務は契約件数。この形にすると、配賦額が事業側の行動で動く。動くことが重要で、事業部が使用量を減らせば配賦が減るという関係が成立して初めて、配賦は管理会計として機能する。 売上高比の配賦にはこの関係がない。売上を減らせば配賦が減る、というのは打ち手にならない。

第二に、単価が作れない機能は、配賦しない。 経営企画、IR、内部監査、そして代表取締役の周辺。これらは特定の事業のために発生しているわけではなく、使用量という概念がない。無理に配分すると、配賦基準の議論が延々と残る。配分しない額を、そのまま「全社」として最後に置く。 企業会計基準第17号第24項(2)が事業セグメントに配分していない額の主な内容の開示を求め、同項(3)が資産を配分していない場合にその旨の開示を求めているのは、配分しないという処理が想定されているからにほかならない。同項(6)は、事業セグメントに対する特定の資産又は負債の配分基準と関連する収益又は費用の配分基準が異なる場合にその内容の開示を求めており、例としてある事業セグメントに特定の償却資産を配分していないにもかかわらずその減価償却費を当該事業セグメントの費用に配分する場合 を挙げる。資産は配らず費用だけ配る、という処理は、基準の側では説明を要する行為として扱われている。

そのうえで、配分しない額の水準そのものを毎期の議題にする。配分しない額が増え続けているなら、それは配賦の問題ではなく、コーポレート部門の総額の問題として正面から立つ。 順序が正しく戻っている。

現場では
売上高1,480億円の化学メーカーで、CFOが本社費の議論の順序を入れ替えた。前提はよくある状態で、本社費の総額は年間46億円、配賦基準は売上高比7割・人員数比3割の複合である。三年前に売上高比100%から現在の形に変更されており、その際の議論に費やした会議は延べ十一回だった。変更後も、四事業本部のうち三本部が予算のヒアリングで本社費への異議を述べていた。 着手は総額の可視化からである。まず本社費46億円を機能で分解した。経理と財務で9.2億円、人事と総務で11.4億円、情報システムで13.8億円、法務と知財で4.1億円、経営企画とIRと内部監査で5.3億円、その他が2.2億円。次に五期分の推移を三つの物差しで並べた。売上比は2.9%から3.1%の範囲でほぼ横ばい、従業員一人当たりは五期で11%上昇、そして機能別単価は情報システムだけが突出して動いていた。アカウント当たり単価が五期で1.6倍になっている。 理由を追うと、クラウドサービスの契約が部門ごとに増え、全社標準のライセンスと重複したまま整理されていなかった。この一点は、配賦基準をどう変えても見えなかった論点である。 資料の出し方も変えた。従来は予算のヒアリングで事業本部から本社費への質問が出て経営企画が答えていたが、ヒアリングの二週間前にコーポレート側が三つの物差しの推移と機能別の増減理由を一枚にまとめて配布する運用にした。問われる側が先に出す形にしたことで、ヒアリングの議題が配分から機能の中身に移っている。 配賦の設計は二段に分けた。単価が作れる四機能、すなわち給与計算(在籍人数)、購買(発注件数)、経理の取引処理(仕訳件数)、法務(契約レビュー件数)については、単価×使用量に切り替えた。切り替えた初年度、法務のレビュー件数が前年比で18%減っている。減った内訳を確認したところ、三分の二は定型契約の社内標準化によるもので、残る三分の一は事業部が外部の弁護士に直接依頼したものだった。 後者は全社では費用が増えているため、翌期から一定の契約類型は法務経由を必須とし、その分は配賦の対象外とする例外を置いた。単価が作れない経営企画・IR・内部監査の5.3億円は配賦せず、「全社」として最後に置くこととした。あわせて、海外子会社への役務提供の対価も見直している。従来は一部の機能について実費のみを請求していたが、移転価格事務運営要領3-11の定めに照らし、総原価の配分額に5%を加算する方式へ改めた。総原価には、なお書きに従って担当部門及び補助部門の一般管理費等の間接費を合理的な配賦基準で計算して含めている。 CFOはこう言っている。配賦基準を三回変えたときには誰も納得しなかったが、総額の推移を先に出した年は、配賦の議論そのものが三十分で終わった。

決めるのは三つ

第一に、総額の説明をコーポレート側が先に出す。 配賦基準を精緻にしても総額は一円も動かないため、基準の変更は負担の重い事業部と軽い事業部を入れ替えるだけのゼロサム交渉になる。さらに配賦額が事業部の評価に効くと、事業部は本社機能の利用を減らす方向に動き、規模の経済と統制の両方が失われる。予算のヒアリングの前に、売上比・従業員一人当たり・機能別単価の五期推移をコーポレート側が配る。 問われる側が先に出す形にした時点で、議題は分配交渉から機能ごとの投入量の評価に変わる。

第二に、外部水準は制度の物差しを転用して作る。 本社費という科目は外部に開示される財務諸表のどこにもなく、セグメント情報も機能別の内訳までは開示させない。転用できる物差しは二つある。移転価格事務運営要領3-11は、支援的な性質で中核的事業活動に直接関連せず、無形資産も重要なリスクも伴わない企業グループ内役務提供について、総原価の配分額に100分の5を乗じた額を加算した金額を対価としていればそれを独立企業間価格として取り扱うとし、なお書きで総原価に担当部門及び補助部門の一般管理費等の間接費が含まれることを明記している。 5%を超える価値を主張したい機能は、支援的な性質を超えていることを自分で説明する側に回る。もうひとつが地方税法第72条の48で、第3項第1号は製造業の分割基準を従業者の数とし、第4項第1号ただし書は資本金一億円以上の製造業の工場について従業者数に二分の一を加算するとしているため、本社の人員配置が分割基準の数値を動かす。

第三に、単価が作れる機能だけを配賦し、作れない機能は配賦しない。 給与計算は在籍人数、購買は発注件数、経理は仕訳件数、法務は契約件数。単価×使用量にすると、事業側が使用量を減らせば配賦が減るという関係が成立し、配賦がはじめて管理会計として機能する。経営企画・IR・内部監査のように使用量という概念がない機能は、配分せず「全社」として最後に置く。企業会計基準第17号第24項(2)は事業セグメントに配分していない額の主な内容の開示を求め、同項(3)は資産を配分していない場合にその旨の開示を求めており、配分しないという処理は基準の側で想定されている。 ただし同項(6)が示すとおり、資産を配分せずに減価償却費だけを配分するような扱いは、その内容を説明する必要がある行為として扱われる。

まとめ
本社費の議論が配賦基準の押し付け合いに終始するのは、総額を測る物差しが社内にないからである。会計基準の側は本社費の配賦を要求していない。企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準」第7項は、企業の本社又は特定の部門のように、企業を構成する一部であっても収益を稼得していない又は付随的な収益を稼得するに過ぎない構成単位は事業セグメント又は事業セグメントの一部とならないとする。第23項は開示を最高経営意思決定機関に報告される金額に基づいて行うことを求め、特定の収益、費用、資産又は負債の配分は同機関が使用する算定に含まれている場合にのみ報告セグメントの各項目に含めることができるとしたうえで、配分する場合には合理的な基準に従うことを求める。第24項(2)は、報告セグメントの利益の合計額と損益計算書の利益計上額との差異の内容について、会計処理の方法の違いによる差異がある場合や事業セグメントに配分していない額がある場合にその主な内容を明らかにする必要があるとし、同項(3)は資産を配分していない場合にその旨の開示を求める。配賦しないという選択は制度上存在する。配賦基準の合意が本体でないなら、本体は総額である。配賦基準を精緻にしても総額は動かないため議論はゼロサムであり、しかも配賦額が事業部の評価に効くと事業部は本社機能の利用を減らす方向に動いて、全社では規模の経済と統制が失われる。順序を入れ替え、総額の説明責任をコーポレート側に先に負わせる。総額の物差しは三つで、いずれも社内データで作れる。売上比は五期分を並べて傾きを見る。売上が伸びた期に同じ比率で伸びているなら、コーポレート部門は事業のスケールに連動する構造になっており、横ばいであること自体が課題として立つ。従業員一人当たりは売上比と並べる。二つが逆方向に動く期には理由があり、本社費が売上に連動しているのか人員に連動しているのかが分かる。三つ目が機能別単価で、給与計算は一人当たり、購買は一発注当たり、経理は一仕訳当たり、法務は一契約当たり、情報システムは一アカウント当たりと、分母を機能ごとに変える。分解の粒度は外に出したときに見積りが取れる粒度に合わせると、そのまま外部との比較単位になる。外部水準については正直に扱う必要がある。本社費という科目は外部に開示される財務諸表のどこにも存在せず、販売費及び一般管理費には販売部門の費用が混ざり、その内訳の開示範囲も会社によって異なる。セグメント情報も助けにならず、第24項(2)が求めるのは配分していない額の主な内容であり、第25項が求める差異調整も報告セグメントの売上高・利益・資産・負債の合計額と財務諸表計上額との調整およびその他の開示項目についての調整であって、機能別の単価ではない。そこで制度上の物差しを転用する。国税庁の移転価格事務運営要領3-11は企業グループ内における役務提供に係る独立企業間価格の検討を扱い、役務提供が支援的な性質のもので中核的事業活動に直接関連しないこと、無形資産を使用していないこと、重要なリスクの引受け・管理・創出を行っていないこと、一定の業務に該当しないこと、同種の役務提供が非関連者との間で行われていないことなどの要件をすべて満たす場合に、総原価の額を従事者の従事割合、資産の使用割合その他の合理的な方法により役務提供を受けた者に配分した金額に、当該金額に100分の5を乗じた額を加算した金額を対価としていれば、その額を独立企業間価格として取り扱うとする。同項のなお書きは、総原価の額に直接費のみならず合理的な配賦基準によって計算された担当部門及び補助部門における一般管理費等の間接費が含まれることを明記しており、支援的な性質の役務には5%しか上乗せが認められていないことの裏返しとして、5%を超える価値を主張したい機能は支援的な性質を超えていることを自ら説明する側に回る。同項(2)は、これに当たらない役務提供のうち本来の業務に付随して行われたものについて、総原価の額を独立企業間価格とする原価基準法に準ずる方法等の適用を検討するとしている。もうひとつが地方税法第72条の48で、第3項は二以上の道府県に事務所又は事業所を設けて事業を行う法人の課税標準額の総額を分割基準により分割するとし、同項第1号は製造業について事業所等の従業者の数への按分を定める。同条第4項第1号ただし書は、資本金の額又は出資金の額が一億円以上の製造業を行う法人の工場である事業所等について、従業者の数にその二分の一に相当する数値を加えるとしており、工場だけが一・五倍に嵩上げされる結果、本社の人員配置が分割基準における本社所在地の比重を動かす。総額を説明したあとで配賦を決める。単価が作れた機能は単価×使用量で配賦し、事業側が使用量を減らせば配賦が減るという関係を成立させる。売上高比の配賦にはこの関係がなく、売上を減らせば配賦が減るというのは打ち手にならない。単価が作れない経営企画・IR・内部監査などは配賦せず、配分しない額をそのまま全社として最後に置く。ただし第24項(6)は、事業セグメントに対する特定の資産又は負債の配分基準と関連する収益又は費用の配分基準が異なる場合にその内容の開示を求め、例として償却資産を配分していないのに減価償却費を配分する場合を挙げているため、資産は配らず費用だけ配る扱いは説明を要する行為として扱われる。そして配分しない額の水準そのものを毎期の議題に置けば、それが増え続けている状態は配賦の問題ではなくコーポレート部門の総額の問題として正面から立つ。

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