四半期の途中までは順調に見えていた利益が、賞与の支給月にまとめて振れる。差額の内訳を聞くと「引当が足りていませんでした」で終わる。翌期も同じことが起きる。この現象の原因は、見積りの精度ではない。見積りを更新する日が決まっていないことだ。 賞与の見込みは人事が持ち、料率は制度が動かす。どちらも経理の中では変わらない。だから、経理が単独で精度を上げようとすると必ず頭打ちになる。直すのは計算式ではなく、受け渡しの日付である。

POINT
まず、置くべき科目が決まっている。日本公認会計士協会のリサーチ・センター審理情報〔No.15〕「未払従業員賞与の財務諸表における表示科目について」(平成13年2月14日)は三つに分けている。財務諸表の作成時において賞与支給額が確定しており、その支給額が支給対象期間に対応して算定されている場合は、当期に帰属する額を「未払費用」として計上する。支給額は確定しているが、支給対象期間以外の臨時的な要因に基づいて算定されたもの(例えば成功報酬的賞与等)である場合は、その額を「未払金」として計上する。財務諸表の作成時において支給額が確定していない場合は、支給見込額のうち当期に帰属する額を「賞与引当金」として計上する。同資料の(注)は、支給額が確定している場合として、個々の従業員への支給額が確定している場合のほか、賞与の支給率、支給月数、支給総額が確定している場合等が含まれるとしている。分岐点は「確定しているか」と「支給対象期間に対応しているか」の二つであり、どちらも就業規則と賞与規程の書き方で決まる。 税務は別の線を引く。法人税法第22条第3項第2号は損金算入額を「販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額」としており、賞与引当金は損金にならない。損金算入の時期は法人税法施行令第72条の3が三区分で定める。第一号は、労働協約または就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与で、使用人に支給額の通知がされ、かつ支給予定日または通知をした日の属する事業年度に損金経理をしているものについて、支給予定日または通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度。第二号は、支給額を各人別に、かつ同時期に支給を受ける全ての使用人に対して通知し、通知した金額をその全員に対し通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1月以内に支払い、その支給額につき通知をした日の属する事業年度において損金経理をしている賞与について、通知をした日の属する事業年度。第三号は、それ以外の賞与について支払われた日の属する事業年度である。社会保険料の側にも税務の線がある。法人税基本通達9-3-2は、法人が納付する健康保険法第155条または厚生年金保険法第81条の規定により徴収される保険料等のうち当該法人が負担すべき部分の金額を「当該保険料等の額の計算の対象となった月の末日の属する事業年度の損金の額に算入することができる」としている。賞与に係る保険料の計算対象月は支給月である。だから引当に対応して積んだ法定福利費も、税務では当期の損金にならない。 最後に、率の側が令和8年度に動いていることを押さえる。全国健康保険協会は令和8年度の保険料率を3月分(4月納付分)から改定しており、全国一律の介護保険料率は1.62%、全国一律の子ども・子育て支援金は0.23%である。都道府県単位の健康保険料率は最も高い佐賀県が10.55%、最も低い沖縄県が9.44%となっている。

賞与引当金は、就業規則の書き方で科目が変わる

賞与引当金という科目を毎期そのまま使っている会社は多い。だが、審理情報15号の分岐に照らすと、その科目でよいかどうかは会社によって違う。

分岐は二段ある。第一段は、財務諸表の作成時に支給額が確定しているかどうか。ここでいう確定には、個々の従業員への支給額が決まっている場合だけでなく、支給率・支給月数・支給総額が確定している場合等も含まれる。「まだ一人ずつの査定が終わっていないから未確定」と処理している会社は、この(注)を読み落としていることがある。 総額と支給月数が労使で決まっていれば、確定側に寄る。

第二段は、その支給額が支給対象期間に対応して算定されているかどうか。対応しているなら未払費用、支給対象期間以外の臨時的な要因に基づくもの(成功報酬的賞与等)なら未払金になる。

ここで実務が詰まる。支給対象期間が就業規則にも賞与規程にも書かれていない会社が、思いのほか多いからだ。書かれていなければ、当期に帰属する額の根拠が書けない。四月から九月の勤務に対して十二月に支給するのか、単に十二月時点の在籍者に払うのか。この一行がないまま按分している会社は、監査で必ず質問を受ける。 直すのは経理の計算ではなく、規程の側である。

科目の判定を毎期やり直す必要はない。一度整理して、支給対象期間の定めと確定の時期を一覧にしておけば、あとは当てはめるだけになる(決算整理仕訳の全体像:見落としやすい決算特有の仕訳を漏れなく洗い出す)。

税務は引当を認めない。だから差額は毎期必ず残る

会計で積んだ賞与引当金は、税務では損金にならない。法人税法第22条第3項第2号が、償却費以外の費用のうち当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを損金から除いているからだ。

では、いつなら損金になるのか。法人税法施行令第72条の3が三つの区分を置いている。

第一号は、労働協約または就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与である。使用人にその支給額の通知がされており、かつ支給予定日または通知をした日の属する事業年度においてその支給額につき損金経理をしているものに限られ、支給予定日または通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度の損金になる。

第二号が、いわゆる決算賞与の要件になる。イとして、その支給額を各人別に、かつ同時期に支給を受ける全ての使用人に対して通知をしていること。ロとして、イの通知をした金額を通知をした全ての使用人に対し、通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1月以内に支払っていること。ハとして、その支給額につきイの通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。三つを全て満たしたときに、通知をした日の属する事業年度の損金になる。

第三号は、前二号以外の賞与について、支払われた日の属する事業年度である。

要件がそろわなければ支払時まで待つ、という構造だ。 実務上つまずくのは第二号ロの「全ての使用人に対し」の部分で、支給日在籍要件を付けている会社では、通知した相手の一部が退職して支払われなかった時点で全体の要件が崩れる。規程の一行が、そのまま数千万円の損金算入時期を動かす。

会計と税務のずれは、将来減算一時差異として毎期繰り越される。賞与引当金と、それに対応して積んだ未払社会保険料の両方が対象になる。回収可能性の判断が揺れる会社では、この差異が損益を二重に振らせる要因になる(繰延税金資産の回収可能性|業績が揺れた期に損益が二重に振れる仕組み)。

賞与の社会保険料は、二つの上限と二つの改定日で動く

賞与に係る法定福利費を「月額給与と同じ率を掛ければいい」と処理している会社は、二か所で外す。上限と改定日である。

まず、賞与そのものの定義が決まっている。健康保険法第3条第6項は「賞与」を、労働の対償として受けるもののうち三月を超える期間ごとに受けるものと定義する。同条第5項は「報酬」から、臨時に受けるものおよび三月を超える期間ごとに受けるものを除いている。年四回以上支給されるものは賞与ではなく報酬側に入り、標準報酬月額の計算に載る。 支給回数を変える人事施策は、社会保険料の計算の枠組みごと動かす。

上限は二つある。厚生年金保険法第24条の4第1項は、標準賞与額について千円未満の端数を切り捨てるとしたうえで、150万円を超えるときは150万円とする。健康保険法第45条第1項は同じく千円未満を切り捨てたうえで、その年度(毎年4月1日から翌年3月31日まで)における標準賞与額の累計額が573万円を超えることとなる場合には、累計額が573万円となるようその月の標準賞与額を決定し、その年度においてその月の翌月以降に受ける賞与の標準賞与額は零とする。

厚生年金は一回ごとの頭打ち、健康保険は年度累計の頭打ちである。役員や高給与層が多い会社では、夏の賞与で健康保険側の枠を使い切り、冬の賞与に健康保険料がかからないことがある。 年間の引当を単純な率で置いていると、この会社は毎年冬に過大計上する。

率のほうは、保険ごとに改定のタイミングが違う。厚生年金保険法第81条第3項は保険料額を標準報酬月額および標準賞与額にそれぞれ保険料率を乗じて得た額とし、同条第4項は平成29年9月以後の月分の保険料率を千分の183.00と定めている。ここは動かない。動くのは健康保険側だ。健康保険法第160条第1項は、協会が管掌する健康保険の一般保険料率を千分の30から千分の130までの範囲内で支部被保険者を単位として決定するとし、同条第8項は変更に厚生労働大臣の認可を、第9項は認可をしたときの告示を求めている。負担は健康保険法第161条第1項と厚生年金保険法第82条第1項により、被保険者と事業主がそれぞれ半額である。なお介護保険料率が乗るのは介護保険第二号被保険者である被保険者に限られる。健康保険法第156条第1項は、介護保険第二号被保険者である被保険者の保険料額を一般保険料等額と介護保険料額の合算額とし、それ以外の被保険者については一般保険料等額のみとしている。年齢構成によって会社負担率が人ごとに違う、ということだ。

これに加えて、折半ではない負担がある。子ども・子育て支援法第69条第2項は「一般事業主は、拠出金を納付する義務を負う」とし、同法第70条第1項は拠出金の額を、厚生年金保険法に基づく保険料の計算の基礎となる標準報酬月額および標準賞与額に拠出金率を乗じて得た額の総額とする。同条第2項は拠出金率を千分の四・〇以内において政令で定めるとし、子ども・子育て支援法施行令第27条が千分の三・六と定めている。この0.36%は全額が会社負担で、賞与にも乗る。 従業員の給与明細に出ないため、引当の計算から落ちやすい。

賞与に係る会社負担の法定福利費は、二つの数字の積でしか出ない。どちらも経理の外で動く。
標準賞与額
支給額から千円未満を切り捨てた額。厚生年金は1回150万円、健康保険は年度累計573万円で頭打ちになる
×
会社負担率
健康保険(子ども・子育て支援金率を含む)・介護保険・厚生年金18.3%を合算した折半分に、全額事業主負担の子ども・子育て拠出金0.36%を足した率
=
賞与に係る法定福利費
会計では引当の対象になるが、税務では支給月まで損金にならない
左は人事が握り、右は毎年3月に動く。経理が単独で更新できる数字は一つもない。

令和8年度は、率の側が動いた年である

料率改定の反映漏れが怖いという感覚は正しい。特に今年度は、加わった項目がある。

全国健康保険協会は、令和8年度の保険料率を3月分(4月納付分)から改定している。全国一律の介護保険料率は1.62%、全国一律の子ども・子育て支援金は0.23%。都道府県単位の健康保険料率は、最も高い佐賀県が10.55%、最も低い沖縄県が9.44%である。

子ども・子育て支援金は新しい枠組みだ。厚生労働省が公表しているこども家庭庁の資料は、加速化プランの財源の一部となる子ども・子育て支援金について、令和8年度から全ての世代・企業から拠出することが法律に規定されているとし、被用者保険(健保組合、協会けんぽ、共済組合)に共通の支援金率(一律の率)を0.23%としている。徴収は令和8年4月分から医療保険料とあわせて行われ、被用者保険では5月給与から天引きが始まる。徴収の流れは、被保険者と事業主がそれぞれ2分の1を負担する形で示されている。

この支援金率は、標準賞与額にもかかる。 健康保険法第156条第1項第1号は、介護保険第二号被保険者である被保険者の保険料額を、一般保険料等額と介護保険料額の合算額とし、一般保険料等額を「各被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ一般保険料率(基本保険料率と特定保険料率とを合算した率をいう。)と子ども・子育て支援金率とを合算した率を乗じて得た額」と定義している。賦課の対象に標準賞与額が明記されている以上、賞与にも乗る。

したがって、令和8年3月分より前の率で賞与引当金に対応する法定福利費を置いたままにしている会社は、支給月に差額が出る。金額の規模は会社によるが、支払対象が全従業員である以上、取りこぼしは全社に及ぶ。人件費の予算そのものを組み替える必要が出ることもある(人件費の管理会計|要員計画と人件費予算をつないで増員を数字で判断する)。

反映漏れは、責任者ではなく日付で止める

料率改定の反映漏れを「担当者の注意不足」として処理している限り、来年も同じことが起きる。止めるのは注意ではなく、月次サイクルに埋め込んだ日付である。

決めるのは四つでいい。

第一に、賞与の支給見込額を人事から経理へ渡す日。四半期ごとでも構わないが、「四半期末の翌第2営業日までに、支給月数と対象人数と支給対象期間を書いた一枚を出す」というところまで固定する。口頭とメールのやり取りに戻すと、翌年には消える。

第二に、料率の見直し日。健康保険と介護保険と子ども・子育て支援金は年度で動き、協会けんぽは3月分(4月納付分)から改定される。だから、料率テーブルの更新は毎年2月から3月に置き、更新した人と確認した人の名前を残す。厚生年金保険料率は千分の183.00で動いていないが、動いていないことを毎年確認する工程として残す。

第三に、年度累計のリセット日。健康保険の573万円は年度(4月1日から翌年3月31日)の累計で頭打ちになるため、4月に累計がゼロに戻る。この切り替えを計算表に組み込んでおかないと、期をまたぐ賞与の見込みが必ずずれる。

第四に、差額の説明日。支給月の翌月次で、引当額と実際額の差を要因別に分ける。支給見込みの差、標準賞与額の上限の効き方の差、料率の差の三つに割る。割れれば、翌期に直すべき場所が自動的に決まる。 割らずに「差額」と書いている限り、原因は毎年不明のままになる。

この四つは、決算スケジュールのWBSに行として入れておくのが早い(決算スケジュール表の作り方:5日締めを支えるWBSとクリティカルパス)。着地見込みの精度を上げる取り組みとしても、賞与は効きが大きい科目になる(予測精度を上げる|着地見込み(フォーキャスト)を経営の武器に変える)。

現場では
従業員四百人ほどのシステム開発会社で、三期続けて賞与の支給月に営業利益が下振れしていた。経理は毎期、年間の賞与原資を十二等分して引当を積んでいた。CFOが差額を三つに割らせたところ、原因は一つではなかった。一つ目は支給見込みで、業績連動部分が上振れした期に人事から経理へ連絡が入っていなかった。二つ目は上限の効き方で、管理職層の一部が夏の賞与で健康保険の年度累計の枠を使い切っており、冬の賞与では健康保険料がかからないのに、経理は年間を通じて同じ率を掛けていた。過大計上である。三つ目が料率で、年度の料率テーブルの更新が四月の繁忙に紛れて六月にずれ込んでいた。手を入れたのは計算式ではなく、日付だった。人事から経理への受け渡しを四半期末の翌第2営業日に固定し、渡す一枚に支給月数・対象人数・支給対象期間・業績連動部分の見込みを書かせた。料率テーブルの更新は二月末を期限とし、更新者と確認者の欄を作った。標準賞与額の年度累計は給与システムから月次で吐き出させ、上限に近い層だけを別表で管理した。翌期、支給月の差額は前期の四分の一以下に収まった。もう一つ変わったことがある。差額の報告が「引当不足でした」から「支給見込みの上振れが大半で、料率と上限の影響は軽微です」に変わった。同じ金額でも、経営会議で出る質問がまったく違う。

精度は、計算式ではなく受け渡しで上がる

賞与引当金の議論は、放っておくと見積り手法の話になる。過去実績の平均を使うか、直近の支給率を使うか。だが、その議論で埋まる差は小さい。

大きいのは、人事が持っている情報が経理に届く日と、制度が動いた事実を確認する日である。どちらも計算ではなく、段取りだ。 そして段取りは、担当者が代わっても残る形に書ける。

やる順序は決まっている。まず、就業規則と賞与規程に支給対象期間が書かれているかを確認する。書かれていなければ、そこから直す。次に、審理情報15号の三分岐に照らして自社の科目を判定し、確定の時期を一覧にする。そのうえで、人事からの受け渡し日、料率の見直し日、年度累計のリセット日、差額の説明日を月次サイクルに埋める。最後に、差額を三つの要因に割って報告する。

この順序を踏むと、賞与は「期末に振れる科目」から「毎月説明できる科目」に変わる。 変わるのは金額ではなく、説明の質のほうだ。

まとめ
賞与引当金の差額は、見積りの精度ではなく更新の日付で決まる。表示科目は、日本公認会計士協会のリサーチ・センター審理情報〔No.15〕「未払従業員賞与の財務諸表における表示科目について」(平成13年2月14日)が三つに分けている。財務諸表の作成時に支給額が確定しており、その支給額が支給対象期間に対応して算定されている場合は当期に帰属する額を未払費用として計上する。支給額は確定しているが支給対象期間以外の臨時的な要因に基づいて算定されたもの(例えば成功報酬的賞与等)である場合はその額を未払金とする。支給額が確定していない場合は、支給見込額のうち当期に帰属する額を賞与引当金とする。同資料の(注)は、確定している場合として個々の従業員への支給額が確定している場合のほか、支給率・支給月数・支給総額が確定している場合等が含まれるとしている。したがって分岐は「確定しているか」と「支給対象期間に対応しているか」の二つであり、いずれも就業規則と賞与規程の書き方で決まる。支給対象期間の定めがない会社は、当期に帰属する額の根拠を書けない。税務は別の線を引く。法人税法第22条第3項第2号は、償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを損金から除いており、賞与引当金は損金にならない。損金算入時期は法人税法施行令第72条の3が三区分で定める。第一号は労働協約または就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与(支給額の通知があり、支給予定日または通知をした日の属する事業年度に損金経理をしているものに限る)について、支給予定日または通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度。第二号は、支給額を各人別にかつ同時期に支給を受ける全ての使用人へ通知し、その金額を通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1月以内に全員へ支払い、通知をした日の属する事業年度に損金経理をした賞与について、通知をした日の属する事業年度。第三号はそれ以外の賞与について支払われた日の属する事業年度である。支給日在籍要件を置いている会社は、通知した相手の一部に支払われなかった時点で第二号の要件が崩れる点に注意がいる。社会保険料の側では、法人税基本通達9-3-2が、健康保険法第155条または厚生年金保険法第81条の規定により徴収される保険料等のうち法人が負担すべき部分の金額を、当該保険料等の額の計算の対象となった月の末日の属する事業年度の損金の額に算入することができるとしている。賞与に係る保険料の計算対象月は支給月であるため、引当に対応して積んだ法定福利費も当期の損金にはならない。賞与に係る社会保険料の計算では、二つの上限と改定日を押さえる。健康保険法第3条第6項は賞与を三月を超える期間ごとに受けるものと定義しており、年四回以上の支給は報酬側に入る。厚生年金保険法第24条の4第1項は標準賞与額を千円未満切捨てとしたうえで1回150万円を上限とし、健康保険法第45条第1項は同じく千円未満切捨てのうえ、その年度(4月1日から翌年3月31日)における標準賞与額の累計額が573万円を超える場合に累計額が573万円となるようその月の標準賞与額を決定し、その年度のその月の翌月以降の標準賞与額を零とする。厚生年金保険法第81条第3項は保険料額を標準報酬月額および標準賞与額にそれぞれ保険料率を乗じた額とし、同条第4項は平成29年9月以後の月分の保険料率を千分の183.00と定める。健康保険法第160条第1項は協会管掌の一般保険料率を千分の30から千分の130の範囲で支部被保険者を単位に決定するとし、第8項が変更への厚生労働大臣の認可を、第9項が告示を求めている。負担は健康保険法第161条第1項と厚生年金保険法第82条第1項によりそれぞれ半額である。折半でない負担もある。子ども・子育て支援法第69条第2項は一般事業主に拠出金の納付義務を負わせ、同法第70条第1項は拠出金の額を標準報酬月額および標準賞与額に拠出金率を乗じた額の総額とし、同条第2項が千分の四・〇以内で政令に委ね、子ども・子育て支援法施行令第27条が千分の三・六と定める。この0.36%は全額会社負担で賞与にも乗り、給与明細に出ないため引当の計算から落ちやすい。令和8年度は率の側が動いた。全国健康保険協会は令和8年度の保険料率を3月分(4月納付分)から改定しており、全国一律の介護保険料率は1.62%、全国一律の子ども・子育て支援金は0.23%、都道府県単位の健康保険料率は最も高い佐賀県が10.55%、最も低い沖縄県が9.44%である。子ども・子育て支援金は令和8年4月分から医療保険料とあわせて徴収され、被用者保険では5月給与から天引きが始まり、負担は事業主と被保険者で2分の1ずつとされている。健康保険法第156条第1項第1号は一般保険料等額を、標準報酬月額および標準賞与額に一般保険料率と子ども・子育て支援金率を合算した率を乗じて得た額としており、支援金率は賞与にもかかる。反映漏れは注意ではなく日付で止める。人事から経理へ支給見込みを渡す日、料率テーブルを見直す日、健康保険の年度累計がリセットされる4月、そして支給月の翌月次に差額を支給見込み・上限の効き方・料率の三要因に割って説明する日。この四つを月次サイクルに埋めると、賞与は期末に振れる科目から毎月説明できる科目に変わる。

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