IR担当から、海外の運用会社からの面談申込みがCFOに転送されてくる。先方が挙げてきた議題は「資本配分の考え方について」の一行だけである。 名前を調べると、他社で株主提案を出した実績がある。社長は「還元の話だろう、配当性向はもう40%に上げている」と言う。だがCFOが困るのは、還元の話ではない。 その面談でまず出る「なぜこの事業を持ち続けるのか」「現預金380億円は何のための備えか」という問いに、社内で誰も同じ答えを持っていないことである。この状態で面談に臨むと、答えられなかった論点がそのまま、翌年の株主提案の項目になりやすい。

POINT
提案を出す側から見た敷居は、多くの経営陣が思うより低い。会社法第303条第2項は、取締役会設置会社において、総株主の議決権の百分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権又は三百個(これを下回る数を定款で定めた場合にあっては、その個数)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主に限り、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる、と定める。 請求は株主総会の日の八週間(これを下回る期間を定款で定めた場合はその期間)前までにしなければならない。第305条第1項ただし書は、議案の要領を他の株主に通知することの請求についても同じ要件を置く。 つまり、取締役会設置会社では議決権の1%か300個のどちらかを半年持てば、議題も議案の要領も総会の招集通知に載せるよう請求できる。歯止めは二つある。第305条第4項は、取締役会設置会社の株主が提出しようとする議案の数が十を超えるときは、十を超える数に相当することとなる数の議案には前三項の規定を適用しないとし、数え方を四つ定める。役員等(取締役、会計参与、監査役又は会計監査人)の選任に関する議案、役員等の解任に関する議案、会計監査人を再任しないことに関する議案は、その数にかかわらずそれぞれ一の議案とみなす。そして定款の変更に関する二以上の議案は、当該二以上の議案について異なる議決がされたとすれば当該議決の内容が相互に矛盾する可能性がある場合に、これらを一の議案とみなす。 株主提案が最もよく使う器は定款の一部変更議案だが、矛盾しうる関係にない変更を並べれば、その分だけ十の枠を食う。 同条第5項は、十を超える数に相当することとなる数の議案は取締役が定めるとしたうえで、ただし株主が請求と併せて議案相互間の優先順位を定めている場合には、取締役はその優先順位に従うものとする、としている。 第305条第6項は、第1項の議案が法令若しくは定款に違反する場合、又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合はその割合)以上の賛成を得られなかった日から三年を経過していない場合には、第1項から第3項までを適用しないとする。持分が上がると打てる手も変わる。第297条第1項は、総株主の議決権の百分の三以上を六箇月前から引き続き有する株主に、目的である事項と招集の理由を示した株主総会の招集請求を認め、同条第4項は、請求後遅滞なく招集の手続が行われない場合などに、裁判所の許可を得て株主自身が招集することを認める。第433条第1項は、総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く)の議決権の百分の三以上の議決権を有する株主、または発行済株式(自己株式を除く)の百分の三以上の数の株式を有する株主に、請求の理由を明らかにしたうえでの会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧・謄写の請求を認める(いずれも定款で下回る割合を定めた場合はその割合による)。 ここには、会社側が使える数少ない法定の歯止めが付いている。第433条第2項は、請求があったときは次のいずれかに該当すると認められる場合を除き会社はこれを拒むことができない、として五つを挙げる。第一号は請求者がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき、第二号は請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき、第三号は請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき、第四号は閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求したとき、第五号は請求者が過去二年以内においてそうした通報をしたことがあるものであるときである。 裏を返せば、各号に当たると認められない請求は拒めない。 そして、提案される前の段階で自社に何が求められているかは、すでに文書になっている。東京証券取引所が2026年4月28日に公表した「『資本コストや株価を意識した経営』に関する要請のアップデート」は、2023年3月からの要請についてプライムの約9割、スタンダードの約5割の上場会社に開示を行ってもらったとしたうえで、対応のポイントとして、①中長期的な経営方針、②目指す姿に向けた資本の使い方、③保有する資産が価値創出のため最適な状態となっているか、④①から③について取締役会レベルで実効的な議論・監督を行っているか、の四つを挙げている。 このうち②と③が、資本配分の優先順位、過剰な現預金、政策保有株式等の非事業資産、株主還元を名指ししている。 ④は論点ではなく、それらをどこで議論し監督したかというプロセスの項目であり、後述する取締役会の議論の記録の問題になる。

相手が最初に見るのは、提案ではなく自社の開示である

面談の申込みが来た時点で、相手はすでに有価証券報告書、決算説明資料、コーポレート・ガバナンスに関する報告書、そして資本コストや株価を意識した経営に関する開示を読み終えている。面談は情報を取りに来る場ではなく、開示に書いてあることと経営陣が口で言うことが一致しているかを確かめに来る場である。

ここでずれが出ると、相手の評価は一段下がる。開示では「事業ポートフォリオの見直しを進める」と書いてあるのに、面談で「どの事業を見直すのか」と聞かれて答えが出てこない。 開示では「政策保有株式の縮減を進める」と書いてあるのに、具体的な銘柄数と金額の目標を聞かれると「個別には申し上げられない」になる。この二つが同じ面談で起きると、相手は「書いてあるだけで、社内では決まっていない」と判断する。 そこからが提案の準備である。

東証の要請のアップデートは、中長期目線の機関投資家のコメントとして、株主還元の強化を掲げていても、資本配分の全体像・戦略が不透明であったり、業界平均を意識して一定の配当性向ありきで配当額を決めているような場合、短期的に資本効率・株価を引き上げるための一過性の対応に見えてしまう、という趣旨を紹介している。配当性向を上げたことは、備えにならない(株主還元の方針、配当・自社株買い・内部留保をどの順番で使い分けるか)。

突かれる論点は、四つの場所に集約できる

他社の株主提案の事例を並べると、財務に関する論点は四つの場所に集まる。低収益事業、過大な現預金、政策保有株式、そして株主還元の方針である。 この四つは、ばらばらの論点ではない。どれも「この会社は、手元にある資本を使って何を作ろうとしているのか」という一つの問いの、別々の入口である。

東京証券取引所は2026年7月21日、コーポレートガバナンス・コードの2026年改訂版を公表した。改訂に伴う有価証券上場規程の改正は同日に施行され、改訂後のコードを踏まえたコーポレート・ガバナンス報告書は、準備ができ次第、2027年7月末日までに提出する扱いである。 そのうえで改訂版の書きぶりを見ると、この問いは取締役会の責務として置かれている。原則4-1は、取締役会が経営戦略や経営計画の策定・公表に当たって、成長の実現を目指し、自社の資本コストを踏まえて収益計画や資本政策の基本的な方針を示すとともに、収益力・資本効率等に関する目標を提示し、その実現のために、成長投資や事業ポートフォリオの見直し等の経営資源の配分等に関し具体的に何を実行するのかについて説明を行うべきである、とする。 さらに原則4-2(2)は、取締役会は、自社の経営資源の配分が、成長の実現を目指して策定・公表した経営戦略や経営計画に照らし適切なものとなっているかについて不断に検証を行うべきである、とし、解釈指針で、現預金等の金融資産や実物資産等の経営資源を成長投資等に有効活用できているかを含め、不断に検証を行うべきであるとする。「現預金は何のための備えか」は、相手の関心である前に、コードが取締役会に自ら検証することを求めている問いである。

政策保有株式も同じである。原則1-4(1)は、上場会社が政策保有株式として上場株式を保有する場合に、縮減に関する方針・考え方など政策保有に関する方針を開示すべきとし、毎年、取締役会で、個別の政策保有株式について、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査し、保有の適否を検証するとともに、そうした検証の内容について開示すべきである、とする。 「毎年」「個別の」「資本コストに見合っているか」という三つの語が、そのまま面談の質問になる(政策保有株式の縮減、売る順番と売却益の使い道を先に定める)。

提案が来てから考えるか、来る前に棚卸しを終えているかで、同じ論点への答えの質が変わる
BEFORE
提案を受けてから資本政策を考える
期限は招集通知の作成日程で決まる。社内の合意が間に合わないので、否決に必要な説明だけを作る。結果として、提案に書かれた論点は翌年も残る
→
AFTER
打診の前に四つを棚卸ししておく
低収益事業・現預金・政策保有・還元方針を自分で採点し、説明で足りるもの、説明の作り直しで足りるもの、本当に直すものに分ける。直すものには期限と金額を付ける
備えとは反論の準備ではない。相手が指摘する前に自社で同じ採点を済ませ、結論を取締役会の決議として残しておくことである。

説明で足りるものと、本当に直すものを分ける

棚卸しの目的は、四つの論点をすべて解消することではない。保有する合理的な理由があるものは、理由を説明できる形にすればよい。 分けずに全部を「改善課題」にすると、実行できない計画ができあがり、翌年その未達を突かれる。

仕分けは三つに分ける。第一が、既存の開示で説明できているもの。 第二が、実態は問題ないのに説明の組み立てが悪く、誤解されているもの。第三が、説明のしようがなく、本当に直すしかないものである。 判定の基準は一つでよい。その論点について、取締役会で議論した記録と、そこで使った数字が社内にあるかどうかである。

突かれる論点説明で足りる状態説明の作り直しで足りる状態本当に直すしかない状態
低収益事業資本コストを上回るまでの道筋と期限を取締役会で決議済み。進捗を毎期開示改善が進んでいるのに、セグメント区分が粗く外から成果が見えない3年以上、投下資本利益率が資本コストを下回り、改善計画も撤退基準もない
現預金必要水準の算定根拠(運転資本・返済期日・設備投資・リスク耐性)を毎年取締役会で検証根拠はあるが開示が「安定的な財務基盤の維持」の一文で止まっている余資の使途が決まらないまま、5年以上にわたり現預金が積み上がっている
政策保有株式銘柄ごとに便益とリスクを資本コストと比較した検証結果を開示縮減は進んでいるが、目標が「縮減に努める」で金額も期限もない検証が取引額の多寡だけで、資本コストとの比較をしていない
株主還元資本配分の全体像の中で、成長投資の後の余資として位置づけて説明方針は妥当だが、配当性向という結果の数字だけを説明している配当性向が業界平均から逆算されており、社内に算定の根拠がない

右の列に落ちた項目だけが、実際に手を打つべき宿題である。 そして右の列の項目には、金額と期限を付ける。付けられないなら、それは方針ではなく願望であり、面談でそう見抜かれる(キャピタルアロケーション(資本配分)の決め方、原資と使い道の優先順位)。

打診が来る前に、社内で答えを作っておく質問
  • 直近3期で、投下資本利益率が資本コストを下回っている事業はどれか。その事業に、改善の期限と、期限までに届かなかった場合の扱いが決まっているか(撤退基準の決め方、起案時に数値と期限を置いて損切りを遅らせない)
  • 現預金の必要水準は、運転資本、1年内返済の有利子負債、実行が決まっている設備投資、想定するリスクの四つをいくらと置いて算定したか。その算定を、いつの取締役会で検証したか(余剰資金の運用方針と社内規程、金利がある時代の置き場所の考え方)
  • 政策保有株式のうち、直近の検証で「保有継続」とした銘柄は何銘柄・いくらか。その判断に使った便益の額と、資本コストの水準はいくらか
  • 株主還元の水準は、成長投資に振り向ける金額を決めた後の残りとして決めたか、それとも配当性向から先に決めたか
  • 中期経営計画の前回の目標のうち、未達に終わったものは何か。その原因の分析と、次期計画への反映を、どこで説明しているか
  • 会計帳簿等の閲覧・謄写の請求が届いたとき、会社法第433条第2項各号(権利の確保・行使に関する調査以外の目的、業務妨害・株主共同の利益を害する目的、実質的な競争関係、利益を得ての第三者への通報目的、過去2年以内の同種の通報)への該当を、誰がいつまでに判定するか。判定の担当と社内の決裁ルートは決まっているか

誰が対話に出るかも、先に決めておく

面談の中身と同じくらい、誰が出るかが見られている。改訂されたコーポレートガバナンス・コードの原則1-1(2)は、株主との対話には、株主の希望と面談の主な議題も踏まえた上で、合理的な範囲で、経営陣、社外取締役を含む取締役又は監査役が臨むことを基本とすべきである、とする。

同原則の解釈指針は、株主との建設的な対話を促進するための方針に記載すべき事項として五つを挙げる。対話全般を統括する経営陣又は取締役の指定、IR担当・経営企画・総務・人事・財務・経理・法務部門等の有機的な連携のための方策、個別面談以外の対話の手段の充実、対話で把握された株主の意見・懸念の経営陣や取締役会への適切かつ効果的なフィードバックの方策、そして対話に際してのインサイダー情報やフェア・ディスクロージャー・ルールが適用される重要情報の管理に関する方策である。 解釈指針はさらに、面談の主な議題によっては社外取締役が対話の対応者となるべき場面があることを認識した上で、対話ごとに適切な対応者を選定すべきであるとしている。

この五つのうち、実務でいちばん抜けるのが四つ目のフィードバックである。 IR担当が面談で受けた指摘が、その場のメモで終わり、取締役会の議題にならない。翌年、同じ指摘が株主提案として届いたときに、取締役会は初めてその論点を知ることになる(取締役会に出す財務資料、報告のための資料から決議を取るための資料へ)。面談の記録を、四つの論点のどれに当たるかで分類して取締役会に上げる。それだけでも、備えの大きな部分が整う。

なお、原則1-3は、株主総会において可決には至ったものの相当数の反対票が投じられた会社提案議案があったと認めるときに、取締役会が反対の理由や反対票が多くなった原因の分析を行い、株主の権利の実質的な確保に資するよう適切に対応すべきである、としている。可決された議案の反対票は、翌年の提案の予告である。 役員選任議案の賛成率が前年から落ちている取締役がいるなら、その理由の分析は、外から指摘される前に自社でやっておく(IRでCFOは何を語るか、投資家に伝える3つのストーリー)。

設例

売上高1,100億円の機械部品メーカー(3月決算、連結子会社11社、プライム市場)。時価総額900億円に対し純資産1,200億円で、株価純資産倍率は0.75倍。当期純利益60億円で自己資本利益率は5.0%。 現預金が380億円、政策保有株式の貸借対照表計上額が210億円(時価280億円)あり、両者の時価の合計は時価総額の7割を超えていた。きっかけは、海外の運用会社からの「資本配分の考え方について」という一行の面談申込みだった。 CFOは面談の前に、四つの論点を自社で採点した。低収益事業は、4事業のうち1事業が売上180億円・営業利益2億円で、投下資本190億円に対する税引後の利益率は1%を下回っていた。この事業には改善計画も撤退基準もなく、右の列に落ちた。 現預金は、月商92億円の1.5か月分に当たる138億円と、1年内返済の有利子負債60億円を合わせた約200億円を必要水準とし、差額の180億円を余資と置いた。必要水準の算定はあったが、取締役会で検証した記録がなく、開示は「安定的な財務基盤の維持」の一文だった。 政策保有株式は、取引額の多寡で保有継続を判断しており、資本コストとの比較をしていなかった。株主還元は、配当性向40%を業界平均から逆算していた。 仕分けの結果、説明で足りるものは一つもなく、説明の作り直しで足りるものが現預金、本当に直すものが残り三つになった。取締役会は、政策保有株式について3年で時価280億円のうち180億円分を売却する方針を決議した。売却する銘柄の帳簿価額は135億円で、売却益45億円に対する税負担を約13億円と見込み、税引後の手取りを約166億円と置いた。 低収益事業は、2年で投下資本利益率が資本コストを上回らなければ売却または縮小に入るという基準を、決議の文言として残した。余資180億円と政策保有株式の手取りの使途は、3年の成長投資に120億円、自己株式の取得に60億円と配分し、残りは低収益事業の再編の原資として留保することにした。 面談で聞かれたのは四つの論点そのままだったが、うち三つはこの決議を示して答えられた。答えられなかったのは、低収益事業の売却先の想定という一点だけで、それは面談の後に取締役会の議題として設定した。 翌年の総会に、この会社への株主提案は出ていない。

※設例。会社、数値は説明のために置いた架空のもので、特定の会社の実績ではない。

決めるのは三つ

第一に、提案が来る前に、四つの論点を自社で採点する。 会社法第303条第2項により、取締役会設置会社では、総株主の議決権の100分の1以上または300個以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主が議題を請求でき(定款で下回る割合や期間を定めた場合はその割合・期間による)、第305条第1項ただし書により議案の要領の通知も同じ要件で請求できる。持分が上がると打てる手が増える。議決権の100分の3以上を6か月前から引き続き持てば第297条第1項の総会招集請求が開き、会計帳簿等の閲覧・謄写の請求は、第433条第1項により、議決権の100分の3以上または発行済株式(自己株式を除く)の100分の3以上を有する株主が、保有期間の要件なしに、請求の理由を明らかにして行える。 議題を載せる敷居は持分の大きさではなく、保有期間と最低限の議決権で決まる。議案の数の歯止めには癖がある。第305条第4項は、役員等の選任・解任と会計監査人の不再任をそれぞれ一の議案とみなす一方、定款の変更に関する二以上の議案は、異なる議決がされたとすれば議決の内容が相互に矛盾する可能性がある場合にのみ一の議案とみなす。 十を超える分をどれにするかは同条第5項により取締役が定めるが、株主が請求と併せて優先順位を付していればそれに従う。棚卸しの対象となる低収益事業、現預金、政策保有株式、株主還元の四つは、東証が2026年4月28日の要請のアップデートで挙げた四つの対応のポイントのうち、②目指す姿に向けた資本の使い方と③保有する資産が価値創出のため最適な状態となっているか、が名指ししている場所である。 ④はこれらをどこで議論し監督したかというプロセスの項目なので、論点の一覧とは分けて扱う。

第二に、採点の結果を、説明で足りるもの、説明の作り直しで足りるもの、本当に直すものの三つに仕分ける。 判定の基準は、その論点について取締役会で議論した記録と、そこで使った数字が社内にあるかどうかである。本当に直すものには金額と期限を付け、取締役会の決議として文言を残す。 全部を改善課題にすると実行できない計画になり、その未達が翌年の材料になる。改訂されたコーポレートガバナンス・コードの原則4-1と原則4-2(2)は、資本コストを踏まえた資本政策の方針と、現預金等の金融資産を含む経営資源の配分の検証を、取締役会の責務として書いている。

第三に、対話の体制と、面談で受けた指摘を取締役会へ返す経路を先に決める。 原則1-1(2)は、株主の希望と面談の主な議題を踏まえ、合理的な範囲で経営陣、社外取締役を含む取締役又は監査役が対話に臨むことを基本とすべきとし、解釈指針は、対話を統括する経営陣又は取締役の指定、社内部門の連携、個別面談以外の対話の手段、意見・懸念のフィードバック、重要情報の管理の五つを方針に記載すべきとする。抜けやすいのはフィードバックである。 面談の記録を四つの論点で分類して取締役会に上げる仕組みがなければ、指摘は株主提案になって初めて取締役会に届く。

まとめ

取締役会設置会社では、議決権の1%か300個を半年持てば、株主は議題を出せる。備えは反論の準備より先に、相手と同じ採点を自社で終えておくことにある。

次の取締役会では、低収益事業・現預金・政策保有株式・株主還元が表のどの状態に当たるかを採点し、本当に直す項目に金額と期限を付けて決議に残す。面談で受けた指摘も、この四つの論点に分けて取締役会へ上げる。

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