守りから攻めへ。資本配分・財務戦略・経営管理・DX——CFO・財務トップにいま求められる視点を、経営の言葉で解説します。

企業保険をどこまで掛けるか|リスク移転と自家保有の線引きをCFOが決める
保険を総務の更新業務にしている限り、掛け過ぎと無防備は同時に残る。自家保有した分は会計でも税務でも積み立てられず、損失は出た期に一括で当たる。だから先に決めるのは保険料ではなく、一撃で耐えられる金額だ。リスク管理体制の整備は取締役会が決める事項でもある。
守りから攻めへ。資本配分・財務戦略・経営管理・DX——CFO・財務トップにいま求められる視点を、経営の言葉で解説します。

保険を総務の更新業務にしている限り、掛け過ぎと無防備は同時に残る。自家保有した分は会計でも税務でも積み立てられず、損失は出た期に一括で当たる。だから先に決めるのは保険料ではなく、一撃で耐えられる金額だ。リスク管理体制の整備は取締役会が決める事項でもある。

グローバルミニマム課税は、申告の一年以上前に見積りを求め、しかも税効果には反映されない。先に警告してくれる数字がないまま年度末に金額が立つ。国別実効税率は税額控除反映後で決まるため、法定実効税率が15%以上の国でも課税されうる。税務を経理の一機能に置いたままでは持ちきれない。

改訂コーポレートガバナンス・コードで、政策保有株主の売却を妨げてはならないという規律が原則本体に上がった。自社が順番を決めなければ相手が決める。売却益は純資産を増やさないため、使途を先に資本配分方針へ紐づけないと一過性の益で本業の弱さが隠れる。

監査報酬の増額に「高い」で返しても材料にならない。会社法399条により報酬は監査役等の同意事項で、同意理由は事業報告に載る。書けるのは工数と単価の説明だけだ。増額を単価要因と工数要因に割り、工数を制度起因と自社起因に分けたうえで交渉に入る。

負債の上限は平時のEBITDAでなく、過去に落ちた水準とコベナンツ倍率から抵触相当額を出して逆算する。安全余裕はEBITDA側か倍率側の一方でだけ取る。上限を先に置き、その内側で投資規模を決める順序に変えると議論が噛み合う。

保守的なガイダンスは未達を防ぐが、コンセンサスを下げ、上方修正の連発で計画能力を疑わせ、社内の予算にまで伝染する。出し方の様式には自由度がある一方、いったん出せば修正開示の数値基準が付いてくる。この非対称が予想政策の出発点になる。

賃上げ率を決める前に出すべきは、人件費÷営業利益の一行である。人件費が営業利益の5倍ある会社では、人件費総額の3%増が法定福利費まで含めて営業利益の約17%に相当する。吸収先は価格・生産性・投資の三つしかなく、効きの大きい価格はリードタイムが最も長い。

資金運用方針で最初に決めるのは利回りでなく、期間3層への区分と権限の階段。預金保険で保護されるのは1金融機関あたり元本1,000万円までで、預金に置くことも銀行の信用リスクを取る判断である。運用と投機の線は値洗いが損益に出るかで引く。

決議が進まない資料は情報不足でなく論点不在。報告義務が資料を報告に寄せる構造を理解し、報告・審議・決議を分けて議事の順番を逆にする。決議事項は選択肢・推奨・不採用理由・前提が崩れる条件を1ページに置く。

ヘッジ取引とヘッジ会計は別の意思決定で、後者は損益の出るタイミングしか動かさない。実需見合いの予約は原則処理でもP/L上で相殺され、期ズレが残るのは予定取引だけ。文書化と有効性評価を毎期回し続けられるかで採否を決める。