予実管理、原価管理、管理会計——数字を「次の打ち手」に変える経営管理の仕組みを、形骸化させずに回す方法とともに解説します。

研究開発費の管理会計|テーマ単位で止める基準をどう置くか
研究開発費は全額が発生時費用になり、専用設備すら資産に残らない。だからテーマ別の累計投下額は帳簿から出てこない。会計基準は将来の収益獲得を客観的に判定できないと認めて資産計上を退けた。判断を降りた領域だからこそ、止める基準は管理会計で持つしかない。
予実管理、原価管理、管理会計——数字を「次の打ち手」に変える経営管理の仕組みを、形骸化させずに回す方法とともに解説します。

研究開発費は全額が発生時費用になり、専用設備すら資産に残らない。だからテーマ別の累計投下額は帳簿から出てこない。会計基準は将来の収益獲得を客観的に判定できないと認めて資産計上を退けた。判断を降りた領域だからこそ、止める基準は管理会計で持つしかない。

IT費が止まらないのは高いからではない。増やす判断をした人の損益に、その費用が乗っていないからだ。情シスは会計基準上、事業セグメントとして区分されない。配賦しなければ、その費用はどの事業の損益にも乗らない。配るなら単価と消費量に分け、事業が消費量を動かせるものだけを配る。配賦基準の変更は開示事項であり、毎年は動かせない。

設計段階の原価は原価計算基準の外にある。基準二は特殊原価調査を制度の範囲外と明記しており、月次の仕組みからは出てこない。だから原価企画は改善活動でなく、目標原価の合意と未達時の判断を開発ゲートの決議事項に置く設計問題になる。

標準原価の年1回改訂は慣行であって制度の要請ではない。原価計算基準四二のトリガーは事象であり、材料価格や賃率に重大な変化が生じたときは期中でも改訂する。ただし動かすのは価格標準だけ。物量標準を期中に動かすと、差異が能率を測れなくなる。

社内レートは会計換算用と予算用の二本立てで考える。会計側は基準と通達で直近の一定期間の相場に縛られ、期初固定の年間レートは使えない。自由なのは予算レートだけで、その選択は為替差を現地と本社のどちらに背負わせるかの決定にほかならない。

受注残は売上計上前の実力であり、月次P/Lより半年早く異変を出す。載せてよいのは契約で金額と履行義務が確定したものだけで、見込み案件と合算した瞬間に会議で使えない数字になる。金額だけでなく粗利率・着手状況・滞留で質を見る。

人件費を勘定科目としてしか持たない限り、増員は感覚で決まる。要員数×フルコスト単価×稼働月に分解し、単価には法定福利費と間接費を載せて等級ごとに固定する。増員要求は三種に仕分け、新規の打ち手だけを投資判断の型で測る。

設備投資の予算超過は審査の失敗ではなく執行の可視性の失敗である。多くの会社の消化率は支払ベースでしか見えず、発注残を含めない限り残額は常に実際より大きく見える。歯止めは事後の反省ではなく、投資決議と同じ決裁で執行ルールを決めておくことにある。

週次速報を月次の縮小版として作ると、必ず精度の議論に飲み込まれて死ぬ。指標は動いたら来週手が打てるものだけに絞り、確定・暫定・推計のフラグを付け、毎月の乖離検証で載せ方を入れ替える。責任者を経理に置かないことも設計の一部。

月次会議が報告会で終わる原因は資料でも締めの速さでもなく、是正が翌月の議題に戻らないこと。報告・審議・検証を三層に割り、差異を打ち手の粒度まで分解し、是正台帳の期待効果を着地見込みに織り込む設計にする。