浅香 祐輔(あさか ゆうすけ) / Never Red株式会社 代表取締役・CFOzine 編集監修
早稲田大学商学部卒。アビームコンサルティング、アクセンチュアを経て、Never Red株式会社を創業。専門は SAP財務会計(FI)の導入プロジェクトマネジメント と 経理業務改革。事業会社の決算プロセス再設計、経営管理基盤の構築、SAP導入のPMOに長く携わる。「現場を、本当に回るところまで作り切る」を信条に、CFOzineの記事を監修している。
浅香 祐輔(あさか ゆうすけ) / Never Red株式会社 代表取締役・CFOzine 編集監修
早稲田大学商学部卒。アビームコンサルティング、アクセンチュアを経て、Never Red株式会社を創業。専門は SAP財務会計(FI)の導入プロジェクトマネジメント と 経理業務改革。事業会社の決算プロセス再設計、経営管理基盤の構築、SAP導入のPMOに長く携わる。「現場を、本当に回るところまで作り切る」を信条に、CFOzineの記事を監修している。

会計システムの設定は業務要件の翻訳結果である。訳した人がいなくなり設定だけが残ると、数年で誰も要件を説明できなくなる。実施基準はベンダー管理とマスタ・データの維持管理を統制項目として名指しし、電帳法施行規則は事務手続を明らかにした書類だけは自社から外していない。経理に業務システムのオーナーを置く。

SAPの通貨設定で本当にあとから足せないのは、通貨という器ではなく、過去の取引に当てるべきレートとその根拠だ。会計は換算のタイミングだけを決め、税務は通貨の種類ごとに方法を選定させて変更に承認を要求する。為替差損益は四か所から出る。どこで出たかを月次で言えるかが、設計の合否を決める。

研究開発費は全額が発生時費用になり、専用設備すら資産に残らない。だからテーマ別の累計投下額は帳簿から出てこない。会計基準は将来の収益獲得を客観的に判定できないと認めて資産計上を退けた。判断を降りた領域だからこそ、止める基準は管理会計で持つしかない。

買収した会社の月次が遅いとき、本社から人を送るのは最後の手だ。先に移すのは締めの期日と勘定科目の意味であり、様式ではない。取得原価の配分は企業結合日以後1年以内。内部統制の評価除外は初年度の逃げ道でしかなく、翌期の扱いは基準に書かれていない。統合の時計は最初から動いている。

実地棚卸の差異を経理が雑損で吸収している限り、来年も同じ差異が出る。監基報501は、継続記録と実地棚卸数量の差異を内部統制の運用が有効でないことの示唆と位置づける。原価性の判定も原因が特定できなければ下せない。経理が処理してよいのは、原因が付いた差異だけである。

IT費が止まらないのは高いからではない。増やす判断をした人の損益に、その費用が乗っていないからだ。情シスは会計基準上、事業セグメントとして区分されない。配賦しなければ、その費用はどの事業の損益にも乗らない。配るなら単価と消費量に分け、事業が消費量を動かせるものだけを配る。配賦基準の変更は開示事項であり、毎年は動かせない。

過去データを何年分移行するかは、年数から決めるものではない。会社法432条2項は10年、法人税は法人一般に原則7年(青色欠損金が生じた事業年度は10年)だが、それは帳簿書類の保存義務であって新ERPに載せる義務ではない。明細が本当に必要なのは、固定資産やリースのように計算が続いているものだけである。

設計段階の原価は原価計算基準の外にある。基準二は特殊原価調査を制度の範囲外と明記しており、月次の仕組みからは出てこない。だから原価企画は改善活動でなく、目標原価の合意と未達時の判断を開発ゲートの決議事項に置く設計問題になる。

元帳を増やすべきなのは、その評価で独立した財務諸表を外に出す場合だけだ。日本の税務償却は損金経理を入力とし、申告は確定した決算に基づくため、税務簿価は会計に従属する。だから税務は元帳でなく減価償却領域と申告調整で持つ。決め手は器の数でなく、取得時にどの属性を取っているかにある。

改訂コーポレートガバナンス・コードで、政策保有株主の売却を妨げてはならないという規律が原則本体に上がった。自社が順番を決めなければ相手が決める。売却益は純資産を増やさないため、使途を先に資本配分方針へ紐づけないと一過性の益で本業の弱さが隠れる。